富士経済、コト消費に伴う飲食施設・テイクアウト・ホームデリバリーの市場調査、2024年はテイクアウトが7兆7005億円の見込

テイクアウトの市場推移・予測

総合マーケティングビジネスの富士経済は、料飲店や喫茶といった飲料の提供を主とする飲食店、交通機関やレジャー施設、宿泊宴会場といったコト消費に伴う飲食施設のほか、テイクアウト、ホームデリバリーを対象に外食62業態の市場の現状を調査し、将来を展望した。その結果を「外食産業マーケティング便覧 2024 No.2」にまとめた。その結果、2024年国内市場見込(2023年比)では、外食価格の上昇によって、消費者の節約志向を受けて拡大し、テイクアウトが7兆7005億円(2.3%増)を見込む。飲み物だけでなく空間も楽しむ目的で需要が高まるコーヒーショップは5015億円(2.3%増)を見込む。

なお、ファストフード、ファミリーレストラン、専門料理店(アジア・エスニック料理、西洋料理、日本料理)など食事の提供を主とする外食市場の調査結果は、5月14日に発表している。

テイクアウトは、CVSテイクアウトフードと量販店デリカの規模が大きく、市場の約7割を占める。2023年は、限定商品の投入や増量キャンペーンなどの展開によって、CVSテイクアウトフードが伸長した。新型コロナ流行によって上昇した量販店デリカの中食ニーズも高止まりしており、市場拡大に繋がった。また、原料費高騰に伴う様々な商品の値上げによる客単価上昇の影響もみられた。2024年は、物価上昇による消費者の節約志向を取り込んで量販店デリカの伸長が予想される。共働きや単身者、高齢者など調理の手間を省きたい世帯の増加に伴い、中食の需要は底堅く、引き続き市場拡大が予想される。

デリカショップと量販店デリカは、外食価格の高騰を受けた中食ニーズの伸びにより、近年好調である。デリカショップは、RF1(ロック・フィールド)やオリジン弁当(オリジン東秀)など惣菜売上比率が50%以上かつ、イートイン売上比率が20%未満の店舗を対象とする。2023年は、参入企業が高付加価値品への注力や商品増量を進め価格改定を行ったことによって、客単価が上昇し、市場は拡大した。一方、一部の参入企業は価格を据え置きすることによって、経済性を重視する消費者の需要を獲得した。2024年は、インバウンドの影響を背景に百貨店デリカが好調であるほか、前年の価格改定によって客単価が上昇しているため市場拡大が予想される。また、値上げに伴う買い控え対策として、様々なキャンペーンや付加価値商品の展開が進むとみられる。量販店デリカは、量販店の惣菜コーナーで販売されているデリカを対象とする。出社率が高まった2023年は、共働き世帯の需要が平日、週末ともに高まり、弁当や丼ものなど主食メニューや、すしやオードブル系の高付加価値商品が好調であった。また、食用油の価格高騰を受け、家庭内で揚げ物を調理する頻度が減り、惣菜のコロッケやからあげも伸びたため、市場は前年比4.3%増となった。2024年は、物価上昇によって外食を控え惣菜を購入する動きが強くなるとみられ、引き続き市場拡大が予想される。

喫茶の2023年の市場は、コーヒーショップと喫茶店・コーヒー専門店の伸びが大きく、前年比7.4%増となった。飲み物だけでなく、空間を楽しむ需要が高まっているためコーヒーショップが好調となった。特に、新型コロナが5類に移行した5月以降、喫茶店・コーヒー専門店ではイートイン需要が急増した。2024年も、店舗数の増加、フェアメニューの展開などによる客単価上昇を背景に、コーヒーショップと喫茶店・コーヒー専門店が伸び、市場拡大をけん引するとみられる。また、ジュース&ティースタンド・カフェは参入企業が積極的な店舗展開を進めているため、伸長が予想される。

コーヒーショップの2023年の市場は、新型コロナが5類に移行し人流が回復に向かったことによる客数増加や、客単価の高い上位企業の出店増加を背景に拡大した。また、原料価格高騰に伴う値上げによって客単価も上昇しており、新型コロナの流行前である2019年を上回った。2024年は、主要参入企業の価格改定と季節限定などフェアメニューの展開によって客単価が上昇している。店舗数も増加しており、市場は前年比2.3%増が見込まれる。

CVSカウンターコーヒーの2023年の市場は、人流の回復で大きく拡大するとみられたが、コーヒーショップや喫茶店・コーヒー専門店などコーヒーだけでなく空間を楽しむ業態へ需要が分散したため、市場は前年比2.3%増にとどまった。一部では、値上げによる買い控えもみられた。2024年も価格改定は続いており、ユーザーの買い控えが懸念されるが、参入企業は、アプリ会員向けのクーポン配布、カフェラテや高級豆を使用したブラックなど高付加価値商品の展開によって需要を取り込んでおり、市場は前年比1.3%増が見込まれる。

宿泊宴会場は、ホテル(ビジネスホテル、シティホテル、リゾートホテル)、旅館、結婚式場・宴会場を対象とする。ホテル、旅館は料飲部門売上、宴会部門売上を対象とする。新型コロナの流行の影響によって、市場は2020年に大きく縮小したものの、利用者の増加に伴い2021年以降回復に向かっている。2023年の市場は、前年比12.3%増の5兆5051億円となった。円安によるインバウンド需要の急増による利用者増加や、新型コロナの5類移行によって回復に向かっている披露宴、会合、パーティー需要によって拡大した。特に、ホテルは、シティホテルの伸びが大きく、2019年の規模を超えた。旅館は、食事面での高付加価値化を強化する動きもみられた。2024年は、前年から続くインバウンド需要に加え、国内旅行ニーズの高まりで、引き続き市場拡大が予想される。ホテルは、大阪・関西万博に向けて外資系チェーンを中心にシティホテルの施設数が増加している。旅館市場は、前年同様高品質な施設へのリニューアルやサービス拡充のほか、オールインクルーシブ導入によって、未利用者を取り込む動きが進んでおり、2019年の規模を超えると予想される。

[調査方法]富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
[調査期間]2月~4月
[小売価格]
書籍版:16万5000円
書籍/PDF版セット:19万8000円
書籍/PDF+データ版セット(全体編):22万円
ネットワークパッケージ版:33万円
(すべて税込)

富士経済=https://www.fuji-keizai.co.jp


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