富士経済、防災食品の国内市場の調査、南海トラフ地震臨時情報の発表によって需要が急増し2018年以来の二桁増へ

総合マーケティングビジネスの富士経済は、地震のみならず大雨や台風などライフラインの寸断を引き起こす規模の自然災害が頻発していることを背景に危機意識が高まり、需要が増加している防災食品の国内市場を調査した。その結果を「2024年 防災食品市場の現状とトレンド遷移」にまとめた。トピックスとしては、2024年見込(2023年比)の防災食品市場が261億円(21.4%増)に達する見通しだ。南海トラフ地震臨時情報の発表によって需要が急増。2018年以来の二桁増になるとみられる。

この調査では、備蓄を想定し3年以上の保存ができる防災食品9品目の市場を、保存期間別、調理方法別、チャネル別などに分析し、将来を展望した。

2024年は、1月の能登半島地震、8月の宮崎県日向灘を震源とする地震の発生によって、防災意識が一層高まっている。特に、宮崎県日向灘を震源とする地震を受けた南海トラフ地震臨時情報の発表によって防災食品の需要が急速に高まり、市場は前年比21.4%増の261億円が見込まれる。急速に需要が高まったことで、欠品が相次ぎ、納期遅延の対応に追われるメーカーも多くみられる。今後も自然災害やパンデミックなどの発生を機に防災備蓄への関心は高まるとみられる。

用途別では、業務用が市場の7割程度を占める。自治体は保存水+主食(アルファ化米または乾パン)という選択が根強いが、パンやレトルト食品など調理に水がなくても食べられる食品へシフトする動きがみられる。また、企業では、通常の食事に近いメニューが選ばれやすく、惣菜類や汁物・スープ類などの需要が他チャネルと比較して高い。介護施設・老人ホームは2025年4月からBCP策定が義務付けられており2025年前半の駆け込み需要が期待される。しかし、業務用は既にある程度の備蓄が完了していることから、切替需要は定期的に発生するものの、突発的な需要増などは小幅になっていくとみられる。

市販用は、需要の波が激しいが、新たに備蓄を始める人が増える中、販売店舗を探す必要がなく商品や価格を比較しやすいネットでの購入が主流となっている。試食機会が限られることから、レビューなどを参考にしているユーザーが多い。また、卸による防災用品のアソート商品に防災食品が組み込まれることも多い。2024年は大規模な震災が続き防災用品のエントリーユーザーが急激に増加しており、アソート商品が好調なことも、市場の押し上げに寄与するとみられる。

[調査方法]富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
[調査期間]9月~10月
[小売価格]
PDF版:33万円
ネットワークパッケージ版:49万5000円
(すべて税込)

富士経済=https://www.fuji-keizai.co.jp


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