矢野経済研究所、飲料用容器市場に関する調査、2024年国内市場規模は前年比99.8%の716億6700万本の見込み

矢野経済研究所は、国内の飲料および食品用容器の市場規模を調査し、製品セグメント別や参入企業の動向を明らかにした。ここでは、飲料用容器の国内出荷量について、公表した。その結果、2024年の飲料用容器の国内市場規模は、前年比99.8%の716億6700万本の見込みであることがわかった。成熟は必ずしも停滞ではなく、未知の領域への確実な布石で成熟の先にある成長をつかむかにかかっている。

2024年の飲料用容器市場規模(国内出荷量ベース)は、前年比99.8%の716億6700万本を見込む。

飲料用容器の市場は、2020年から2022年にかけてコロナ禍の行動制限などによる減少や家庭内備蓄需要による増加など、品目によって多くの影響が発生したが、2023年に入ってようやくコロナ禍前の状態まで正常化した。2024年の同市場はここ数年間のようには大きく動かない見込みである。容器の需要は中身の需要に左右されるため、飲料や食品の市場が成熟し安定すれば、容器の出荷量の変動も小さくなる。

2023年から2024年にかけて国内の飲料や食品の小売市場の状況を見ると、相次ぐ価格値上げにより、消費者の節約志向が高まり、買い控えやNB(ナショナルブランド)より安価なPB(プライベートブランド)商品が購入されるなど消費行動が変化する中で、容器ユーザーである飲料や食品メーカー各社の動きも保守的になる傾向にある。

ブランドオーナー、流通小売業各社の収益確保が優先される中、容器へのサステナブル材料の使用は「無理のない範囲」へとトーンダウンしている。

飲料や食品のブランドオーナーや流通小売業各社では、これまで脱炭素、持続可能性といった環境対応への取組みを通じて企業イメージの向上を図り、消費者にアピールすることで、商品の差別化につなげるという取組みが進められてきた。

ブランドオーナーや大手流通小売業によるプラスチック代替素材の採用やリサイクルへの取組みと、それに応えた容器メーカーによるサステナブル容器の開発・提案は、それまでCSR(企業の社会的責任)の一貫であった「環境対応」を、事業の持続可能性に直結する課題に押し上げた。CO2排出削減やリサイクル、再生可能につながる材料の使用は、程度の差こそあれ特別なことではなく、スタンダードとなりつつある。

ユーザー企業サイドのこうした動きと歩調を合わせる形で、容器メーカーでは「サステナブル」を謳った製品の開発・提案を推進し、新需要創出につなげてきた。しかし、2023年から2024年にかけての飲料や食品の相次ぐ価格値上げが続き、消費者の節約志向が高まったことで、ブランドオーナーや流通小売業といったユーザーサイドでは収益確保のため、容器のコストをこれまで以上に重視する動きが出てきている。容器ユーザーによるプラスチックから紙への切り替えや、PETボトルのB to B(Bottle to Bottle)化などリサイクルPET樹脂(rPET)への原料切り替えは、積極的な推進から「無理のない範囲」へと、ややトーンダウンする傾向にある。

飲料や食品市場の成熟に加え、これまで新製品開発・新需要創出につながってきたサステナブル材料を使用した容器採用の縮小という状況は、一見すると日本の容器市場に停滞感が漂っているようにも見える。たしかに、消費者の節約志向の中で、ブランドオーナーや流通小売業など容器ユーザーが容器にコストをかけづらい状況ではある。しかし、成熟は即ち停滞ではない。成熟市場には成熟市場なりの戦い方があると考える。飲料や食品など従来の用途が伸び悩み、既存分野での新たな展開の余地が狭まっているという状況に変わりはないが、容器メーカーが視座を高くして市場を見渡せば、これまで見えてこなかった領域が見えてくる。ここに確実に布石を打つことが、成熟を抜けた先にある次の市場での成長につながると考えられる。

[調査要綱]
調査期間:2024年11月~12月
調査対象:飲料容器および食品用容器メーカー等
調査方法:同社専門研究員による直接面接取材(対面、Web)をベースに、文献調査を併用
[小売価格]19万8000円(税込)

矢野経済研究所=https://www.yano.co.jp


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