- Drink&Food2025/04/28 21:16
キリン、ビビッドガーデン・オイシックス・ラ・大地と協働で「モッタイナイ!を、おいしい!に。プロジェクト」を発足

キリンビールは、RTD(Ready to Drinkの略。栓を開けてそのまま飲めるアルコール飲料)「キリン 氷結(以下、氷結)」ブランドにおいて、継続的なCSV(Creating Shared Valueの略。消費者や社会と共有できる価値の創造)活動として取り組む「氷結mottainaiプロジェクト」を、4月23日から企業横断プロジェクト「モッタイナイ!を、おいしい!に。プロジェクト」に進化させた。企業の垣根を越え、各社の強みを生かしながら協働することで、より多くの果実のフードロス削減および日本全国の果実農家支援を目指す。第1弾の取り組みとして、オイシックス・ラ・大地および、産直通販サイト「食べチョク」を運営する、ビビッドガーデンとの協働を開始し、規格外果実の活用・価値創造に取り組む。同プロジェクトでは「果実のフードロス削減を通じてつながりを創造し、“社会に良い”を“私がうれしい”ことに広げ、人と未来を明るく豊かにする。」をビジョンに掲げ、取り組みを推進する。4月23日に開催した、「モッタイナイ!を、おいしい!に。プロジェクト」発表会では、キリンビールがこれまで取り組んできたCSV活動「氷結mottainai プロジェクト」の成果やプロジェクトの新たな進化について説明。また、農家が抱える課題やプロジェクトの具体的な内容等、進化するプロジェクトに携わる人々による同プロジェクトへの期待や今後の取り組みについて意見交換が行われた。

「当社は、健康、コミュニティ、環境を柱に、企業としての普遍的な責務として、アルコールの有害摂取の根絶に向けた取り組みを着実に進展させることを、当社のCSVパーパスと位置づけている」と、キリンビール 代表取締役社長 堀口英樹氏。「お酒の未来を創造し、人と社会に、つながるよろこびを届け続ける会社となるべく、人と人、人と社会をつなげる企業姿勢に紐づいたブランドアクションを実行し、束ねてコミュニケーションすることで、お酒のもつポジティブな価値を実感してもらう」と、同社が掲げる人と社会をつなげるアクションについて語る。「当社が展開するRTDブランド『キリン 氷結』において、昨年5月に、果実農家支援・フードロス削減につながるCSVの新プロジェクト『氷結mottainaiプロジェクト』を発足。同プロジェクトでは、規格外果実の活用でフードロスを削減。全国の特産果実でおいしいチューハイを製造・販売する。売上の一部は果実農家へ寄付した」と、廃棄されてしまう果実を活用し、新たな商品として販売。この売上を農家へ還元する取り組みなのだと力説する。「第一弾『氷結mottainai 浜なし』は、約27万箱を販売し、フードロス削減量は約3.4万個(12t)で、寄付金が約600万円に達した。第二弾『氷結mottainai ぽんかん』は、約27万箱を販売し、フードロス削減量は約31万個(43t)で、寄付金は約570万円となった」と、大きな成果につながったと目を細める。「『氷結mottainaiプロジェクト』は、消費者庁・環境省主催の食品ロス削減推進表彰において、審査委員長賞を受賞。さらに横浜市食の3Rきら星活動賞の受賞や日本政府公式SNSアカウントでの紹介など、郊外的にも認められ広がっている」と、対外的な評価も高いと述べる。

「当社では、今後も継続して全国の果実農家を支援し、2027年にはモッタイナイ果実を年間150t削減したいと考えた」と、プロジェクト発足時の目標を語る。「しかし、もっと多くのフードロスを削減し、農家を支援したい。そして、モッタイナイ果実の価値を創造し、フードロスが発生しない世の中を作りたいという想いから、『氷結』ブランドのみならず、企業の垣根を超えた取り組みに進化させる必要があると強く感じた」と、今回から新たなプロジェクトを発足させる理由について明かす。「名称は『モッタイナイ!を、おいしい!に。プロジェクト』とし、果実のフードロス削減を通じてつながりを創造し、“社会に良い”を“私がうれしい”ことに広げ、人と未来を明るく豊かにすることをビジョンに掲げた」と、様々な企業と協力して価値を伝えていくことで、持続可能な社会の実現を目指すのだと訴える。「プロジェクトでは、『氷結mottainai』商品の継続販売を行うと同時に、企業コラボによる『氷結mottainai』商品の発売も行う。また、消費者との接点拡大や規格外果実の価値伝達、フードロス削減の自分事化も図っていく」と、プロジェクトの全体像について発表。「第一弾では、『食べチョク』を展開するビビットガーデンとフードサブスク『オイシックス』を展開するオイシックス・ラ・大地およびキリン氷結が協働。フードロス削減・モッタイナイ果実の価値創造を加速させていく」と、「氷結mottainai」商品を通じて、全国での接点創出および売上寄付による支援だけでなく、食べチョクによる産地ツアーやコミュニティなどで産地と消費者の接点を創出。オイシックスによるオリジナル商品やメニュー開発、オンラインサービスでの接点の創出を図っていく考えを示した。

「当社は、生産者のこだわりが“正当に評価される”世界へを合言葉に、栽培や漁にこだわりを持つ、規模の小さい生産者もきちんと利益を得ることができる世界を目指していく」と語るビビッドガーデン 代表取締役社長 秋元里奈氏。「国内最大の産直通販サービス『食べチョク』は、こだわり生産者が集う日本最大のオンライン直売所で、登録ユーザーは110万人、生産者数は1万軒、商品数は約5万点となっている」と、サービス開始から8年が経過し、1ヵ月で2471万円も販売する生産者が現れるなど、所得向上にもつながっている。「昨年には、消費者が少量でも選べる形にすることで、生産者の手元に食材が余ってしまうロスも削減する選べる定期便『ドットミイ』や、形や大きさが問題でロスになってしまう野菜なども活用することで『形を変えても美味しい』を実現する冷凍食品『Vivid TABLE』もリリースした」と、少量選択や、食べチョクで流通しづらい商品を冷凍加工するなど、サービスの拡充を図っているのだという。「その他、気候変動に対しての支援など持続的に農業ができるような支援や、SDGsにまつわる取り組み、食品ロスに関する取り組みも行っている」と、農家への支援も実施。「今回、プロジェクトに参画することによって、どうしても出てしまう規格外品を集めて形にしていくことでフードロス削減を図り、農家の所得拡大につなげていきたいと思っている」と、規格外の商品を手に取ってもらえるようにしていくことで、農家を支援していきたいと語っていた。

「当社が展開するサブスクサービス『オイシックス』で2021年から販売しているモッタイナイ商品数は441となる」と、オイシックス・ラ・大地 執行役員 経営企画本部 グリーン戦略室 責任者 東海林園子氏。「これまで当社では、ふぞろい・規格外の販売推進、廃棄箇所のアップサイクル商品化を図ることで、畑のフードロス削減量は約500tに達した。一方、サブスクモデルを活用した畑と食卓の需給データマッチングによると、流通におけるフードロスは、一般の小売店が5~10%であるのに対し、当社は約0.2%となっている。さらに、『Kit Oisix』や『ちゃんとOisix』など食材使い切りサービスの提供で、家庭での食材廃棄量も約1/3まで減少した」と、フードロスへの取り組み実績について紹介する。「アップサイクルとは、これまで捨てられていたものに付加価値をつけ新しい商品にアップグレードさせること。当社のアップサイクルは、産地や加工現場でやむを得ず生じた非可食部や副産物を付加価値のある商品『Upcycle by Oisix』へと転換。未活用だった食材ならではの特徴を活かした商品を163点以上届け、商品化したフードロス原料は35種類以上に達した」と、アップサイクルを通じてフードロス削減に貢献してきたと訴える。「今回のプロジェクトを通じて、フードロスではなく食材の新たな個性として価値が認められる世界を目指していきたい」と、参画に至った経緯について説明した。
この後、3社のプロジェクト担当者である、キリンビール マーケティング部 氷結アシスタントブランドマネージャーの山岡加菜氏、ビビッドガーデン 執行役員 新規事業開発責任者の松浦悠介氏、オイシックス・ラ・大地 執行役員Oisix 商品本部 責任者の冨士聡子氏が登壇し、新たなプロジェクト発足までのストーリーや農家が抱える問題、3社が協業するプロジェクトの詳細や今後の期待について意見交換を行った。

まず、キリンの山岡氏が、「氷結mottainai プロジェクト」のこれまでの振り返る。「第一弾『浜なし』・第二弾『ぽんかん』ともに、目標を大きく上回る反響で、フードロス削減を実現した」と、「コンセプトへの共感」と「果実の特別なおいしさ」を主な理由として消費者から好評を得たと話す。「しかし、課題として生産者側で規格外果実が廃棄されていることも多く、当社単社では実態を把握しきれず、活用も限定的であるため、企業の垣根を越えて協業することで、さらなる『モッタイナイ果実』の活用・価値創造を実現したい」と、今以上にフードロス削減および農家支援に向けた取り組みが必要なのだと力説する。

新プロジェクト発足のきっかけは、「フードロス問題についてビビッドガーデンの松浦氏、オイシックスの東海林氏と対談し、自社の事業での取り組みだけではなく、他の団体や企業との連携をとっていくことで、社会全体に影響を与えられるような大きな取り組みにできるのではないかと考えた」とキリンの山岡氏が語る。ビビッドガーデンの松浦氏、オイシックスの冨士氏も、各社がそれぞれの強みを活かして連携を進める輪がさらに広がっていけば日本の産地の課題解決により大きく寄与できるのではないかとプロジェクトへの共通の想いを語った。

農家が抱える問題について、普段近い距離で農家と日々接することが多い松浦氏、冨士氏は、農家の抱える様々な問題の中で、気候変動による生産の不安定化が一番大きな課題だと話す。この課題に対して、ビビッドガーデンとしては規格外品を活用した非常食を企業向けに製造する取り組み、オイシックスは「おたすけOisix」という規格外品の美味しさや魅力を伝えるネーミングをつけることで規格外品の価値を上げて販売する取り組みを行っていると解説。これに対しキリンの山岡氏も、消費者にとって身近な飲料を通して「モッタイナイものでこんなにもおいしいものができる」という気づきをつくり、フードロス果実の価値創造をサポートしたいと述べていた。

今後の3社での取り組みについて、キリンの山岡氏から、各社が出会った「モッタイナイ果実」を使用した商品を開発中であり、「氷結mottainaiシリーズ」として年内に発売予定であること、また他にも3社の強みを活かした取り組みを実現予定だという。ビビッドガーデンの松浦氏は、「3社協業のプロジェクト第1弾として、4月24日から2日間、『モッタイナイ!を、おいしい!に。マルシェ』を開催、さらにビビッドガーデンからは規格外食材をオンラインで販売する食べチョク特設サイトやオンラインコミュニティを開設する」と発表した。オイシックスの冨士氏は、「オイシックスからはモッタイナイ果実を使ったOisixのミールキット『Kit Oisix』などのコラボ商品を年内に発売する予定」であると話した。
日本各地には、まだまだ多くのおいしいのに規格の問題で廃棄されてしまう「モッタイナイ果実」が存在している。今後「モッタイナイ果実」が発生しない世の中を目指していくためには、まだ知られていない「モッタイナイ果実」をより早く、そして多く見つけ出し、おいしい商品として消費者に届けていく必要があると考える。そのために「氷結mottainaiプロジェクト」を「モッタイナイ!を、おいしい!に。プロジェクト」に進化させ、「氷結」ブランドだけではなく、志を共にする企業と協働し、企業横断で取り組んでいくことを決定。オイシックス、ビビッドガーデンの2社は、自社のサービスを通してフードロスや産地が抱える課題に各社で取り組んできた。このことから、同プロジェクトの趣旨や、企業が協働で取り組む重要性に賛同してもらい、参画が決定した。

「モッタイナイ!を、おいしい!に。プロジェクト」では、各社のネットワークで果実農家とつながり、おいしいのに規格の問題で廃棄される「モッタイナイ果実」を見つけ出し、おいしい商品として消費者に届けることで、フードロス削減および継続的な果実農家の支援に取り組む。また、企業の垣根を越えて、各社の強みやサービスを活かして取り組むことで、1社ではできない規格外品を活用した、新たな価値創造を目指す。さらに、今回の2社にとどまらず、より多くの企業にプロジェクトに参画してもらい「モッタイナイ!を、おいしい!に。」の輪をさらに広げていくことを目指していく。そして、同プロジェクトを通し、規格外品自体やフードロス削減につながる商品が「より身近で前向きな選択肢である」という価値観を世の中に広げていく考え。
具体的には、2社が持つ果実農家のネットワークの中で出会った「モッタイナイ果実」を使用した「氷結mottainai」コラボ商品を年内に発売することを目指す。また、ビビッドガーデンは、生産者と連携して産地や「モッタイナイ果実」についてより深く知ってもらえるよう、規格外品を販売する「モッタイナイ!を、おいしい!に。マルシェ」を4月24日~4月25日の期間、JR新宿駅ミライナタワー改札外で開催した。さらに、発売に向けて産地ツアーの実施、消費者と生産者が食品ロスについて語り合えるコミュニティの立ち上げなどを推進する。オイシックスは、「モッタイナイ果実」を使用した主力商品のミールキット「Kit Oisix」を開発し、年内にオイシックス定期会員に販売することを目指す。
キリンビール=https://www.kirin.co.jp
ビビッドガーデン=https://vivid-garden.co.jp
オイシックス・ラ・大地=https://www.oisixradaichi.co.jp
- #RTD
- #オイシックス
- #オイシックス・ラ・大地
- #キリン
- #キリン 氷結
- #キリンビール
- #セミナー
- #ビビッドガーデン
- #フードロス削減
- #モッタイナイ!を、おいしい!に。プロジェクト
- #氷結mottainai
- #規格外果実
- #食べチョク