- Drink&Food2025/04/28 21:30
矢野経済研究所、和・洋菓子・デザート類市場に関する調査、アフターコロナの追い風が一巡するも引き続き市場拡大と予測

矢野経済研究所は、国内の和・洋菓子、デザート類市場を調査し、製品セグメント別の動向、チャネル別の動向、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。その結果、アフターコロナの追い風が一巡するも、引き続き市場拡大と予測。洋菓子類とアイス類の堅調な推移が市場拡大に貢献する見通し。
和菓子、洋菓子、デザート類(ヨーグルト、プリン、ゼリー、その他チルドデザート類)、アイス類(アイスクリーム類、氷菓)を合計した2023年度総市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、前年度比7.0%増の2兆4248億円と推計した。
コロナ禍が収束に向かった2023年度は、国内外からの人流が回復し、観光需要、手土産需要が回復したことが追い風となった。2023年度も前年度に引き続き、原料高に伴う価格改定が多くの企業で実施されたが、人流回復が追い風となり、値上げによる販売への影響は軽微に抑えられたとみられる。一方、量販店やコンビニエンスストアを中心とする流通系和・洋菓子やデザート類への自家用需要については、節約志向が徐々に強まったことで、やや厳しい市場環境となった。アイス類については、温暖化の影響で商戦期が長期化する傾向がみられ、好調に推移した。

2023年度の和・洋菓子、デザート類総市場における流通チャネル別構成比は、百貨店が16.7%、専門店・路面店(ショッピングセンター内専門店含む)が6.1%、量販店が35.8%、CVS(コンビニエンスストア)が19.1%、駅関連が3.9%、空港が3.3%、SA・PA(サービスエリア・パーキングエリア)が1.0%、通販が4.8%、その他(法人需要等を含む)が9.2%となった。
上述のとおり2023年度以降、各地で人流が回復したことから、百貨店や交通系チャネルなど、幅広いチャネルで市場が拡大した。量販店やコンビニエンスストア(CVS)は堅調に推移し、特にコンビニエンスストアは来店客数の回復に伴い、2022年度比でプラスに推移した。一方、通販については伸び率の鈍化がみられた。
2024年度の和・洋菓子、デザート類総市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、アイス類と洋菓子類の堅調な推移によって、前年度比3.0%増の2兆4975億円を予測する。
和菓子類、洋菓子類については、原材料などのコスト上昇が続く中で、各企業は引き続き価格改定を実施しており、金額ベースの売上高は前年度を上回っているケースもみられる。ただし、コロナ禍後の人流回復の影響で2023年度は好調であった手土産や観光土産などのギフト需要が一巡し、消費者の節約志向が強まる中で、販売数量や商品単価の下落を避けられず、金額ベースでも前年割れとなる企業も見受けられるようになっている。インバウンド(訪日外国人客)需要は好調であるため、国内消費の縮小をインバウンドでカバーする動きはみられるものの、主に日本人需要を中心とする企業は苦戦が目立つようになっている。
デザート類では、猛暑や長い残暑、暖冬などによって、アイス類が好調に推移しており、市場全体にプラス影響を与える見通しである。
[調査要綱]
調査期間:2024年11月~2025年2月
調査対象:和菓子・洋菓子・デザート・アイス類のメーカー、卸売業、小売業、その他関連団体等
調査方法:同社専門研究員における直接面談(オンラインを含む)、電話によるヒアリング、アンケート調査ならびに文献調査併用
[小売価格]16万5000円(税込)
矢野経済研究所=https://www.yano.co.jp