矢野経済研究所、国内時計市場に関する調査、2023年の国内ウォッチ市場は高級時計ブームによって市場規模が拡大

矢野経済研究所は、国内の時計(ウォッチ、クロック)市場を調査し、商品セグメント別の動向、注目すべき動向、将来展望を明らかにした。ここでは、国内ウォッチ(腕時計)市場の分析結果を公表する。2023年の国内ウォッチ市場は高級時計ブームによって市場規模が拡大した。若い世代の富裕層による時計投資を起因とした高額品の好調が市場をけん引している。

日本時計協会データによると、2023年の国内ウォッチ(腕時計)市場規模は小売金額ベースで、前年比126.6%の1兆1036億円となった。若い世代の富裕層による実物資産として高級時計の購入が活発で、なかには将来の価格向上を見込んだ投資目的の購入もみられるなど、高級時計の需要が増加した。また、持続可能な社会を目指す動きのなかで、環境に配慮した機械式時計が再評価されたことや、訪日外国人観光客の高級時計を中心とした旺盛な需要が戻ってきたことなどによって3年連続のプラス成長で推移した。原材料費や人件費の高騰によって販売価格の値上げが繰り返されたことに加え、こうした需要増により国内ウォッチ市場全体は活況を呈した。

ウォッチ(腕時計)のサブスクリプションサービスが注目されている。同サービスは月額などの一定の料金で高級時計を対象に貸し出すサービスで、顧客の継続利用を前提とした会員制で提供されている。同サービスは購入前の試着や手の届きにくい高級時計の着用用途、またパーティーなどの慶事における着用などの消費者需要に対応したサービス提供によって徐々に会員数(ユーザー数)を増やしている。サービス提供事業者はウォッチメーカーやブランドではなく、ITシステムの開発企業や時計買取専門店などの従来とは異なる参入企業によって新たな市場を形成している。会員制であることから事前に有料会員数を十分に確保し、顧客の定期的な利用を維持できていれば確実な収益が見込めるというメリットがある一方で、認知度を高めるための販促コストがかかるなどのデメリットもある。

2024年の国内ウォッチ(腕時計)市場規模は小売金額ベースで、前年比110.2%の1兆2160億円を予測する。近年の高級時計ブームが落ち着きをみせる一方で、価格以上の価値(品質)を提供する中堅ブランドのウォッチの人気が高まっている。中堅ブランドが低価格で高品質の新作商品を展開することで一部のウォッチユーザー(消費者)の需要獲得に成功しているケースもみられる。こうしたことから、2024年の市場規模は前年比でやや緩やかな成長に移行するとみる。なお、市場規模の拡大基調についてはここ数年の原材料費や人件費、輸送コスト高騰などの影響によるブランド各社の値上げ要素が大きく影響している点に留意する必要がある。

[調査要綱]
調査期間:2024年11月~2025年1月
調査対象:時計関連企業(メーカー・卸売業・小売業)、関連団体等
調査方法:同社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mailによるヒアリング、郵送アンケート調査、ならびに文献調査併用
[小売価格]16万5000円(税込)

矢野経済研究所=https://www.yano.co.jp


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