佐藤製薬が爪のトラブルに関するメディアセミナーを開催、爪の変化に潜む病気と対処法について専門医が解説

佐藤製薬は、爪の病気に関するメディアセミナー「爪が気になる これって病気？～原因と対処法を知ろう～」を3月17日に開催した。「爪」に悩みを抱えているにもかかわらず、誰に相談し、どう対処すれば良いかわからずに放置していたり、自己流のケアでやり過ごしてしまう人が多いという。そこで今回のセミナーでは、爪に悩みを抱える多くの患者と現場で対峙している済生会川口総合病院皮膚科主任部長の高山かおる先生を招き、爪の変化に潜む病気と対処法について解説してもらった

「爪の変化には、全身の病気が関係しているケースがある。例えば、貧血の人は爪が脆弱になり、爪先が反り返るスプーン爪が起こる。爪がぷっくり膨らんでバチ状指になると、心不全の兆候とされている。呼吸器疾患を抱えている人は、成長の遅延をともなう黄色爪とリンパ浮腫を特徴とする黄色爪症候群が現れる。また、皮膚の病気が原因で爪が変形するケースとして、水虫（足白癬）から進展して起こる爪水虫（爪白癬）や、炎症性皮膚疾患の爪乾癬や爪扁平苔癬などが挙げられる。爪にホクロができた場合は、ほとんどが良性だが、悪性の場合がんになるリスクもある」と、爪の変化は身体の不調をとらえる指標にすることができると高山先生は説明する。

「爪は、指先を保護するだけでなく、指先に力を伝え、その力を増幅させたり、指先の感覚を敏感にする役割を担っている。爪があるからこそ、指先で細かい作業をすることができる。このことから、私は『爪は小さな運動器』であると提唱している」と、爪は指先の運動器として重要な働きを担っているのだと訴える。「この運動器としての機能が破綻してしまう爪の変化が、巻き爪である。巻き爪は、トランペット型とステープラー型の大きく2種類に分けられる。通常、歩く際に足を踏み込むと床反力が働き、この力を爪が受け止めることで爪が広がる。しかし、歩行姿勢が悪く、ペタペタ歩いている人は床反力が少ないため、爪が広がらずに上に巻き上がり、トランペット型の巻き爪が起こる。一方、ステープラー型は、外反母趾やガニ股で歩く癖のある人は、爪の角に強い力がかかり、ホッチキスの芯のように爪が角ばってしまう」と、巻き爪は病気ではなく、歩行姿勢や関節の問題によって発生する症状なのだと強調した。

「爪の変化に潜む病気の中でも、爪水虫の診断は非常に難しく、見た目だけでは熟年の皮膚科医でも約50％しか正確に診断できないとされている。そのため、爪水虫を診断する際には、爪の下から検体を採取し、顕微鏡で検査をすることが重要になる。この検査で、白癬菌の菌糸が見つかった場合、爪水虫と診断される」と、爪水虫の診断には顕微鏡による検査が必要不可欠だという。「爪水虫であることがわかれば、皮膚科専門医で効果的な治療を行うことできる。治療方法には、外用薬と飲み薬があり、標準的な治療期間は外用薬が約1年、飲み薬が3～6ヵ月とされている」と、爪水虫の治療法についても言及してくれた。

「日本人は、10人に1人が爪水虫に罹患しているといわれており、高齢になるほど罹患率が高まる傾向にある。この理由としては、足の爪は目が届きにくいことに加え、痛みがないため爪水虫に気づきにくいことが挙げられる。また、爪の異常を感じていても、爪の役割の大切さがわからず、まわりに相談する人もいないため、そのまま放置してしまう人も多い。その結果、靴下の脱ぎ履きが難しくなったり、爪が切れない状態にまで悪化してしまう。高齢者の場合は、転倒のリスクを高めることにもつながる」と、自分でも知らないうちに爪水虫を患っている人は少なくないと指摘する。「爪のトラブルは、早く気がついて対処すれば、深刻な状態になるのを防ぐことができる。そこで今回、私が監修した爪トラブルのセルフチェックサイト『爪が気になる これって病気？』を開設した。このサイトでは、爪に関する2つの質問に答えると、写真と共に爪の状態をチェックすることができる。まずは、このサイトを参考にしてセルフチェックを行い、病気が疑われる場合は専門医を受診して、適切な診断と治療を行ってほしい」と、早期発見・早期治療のためにセルフチェックサイトを活用してほしいとアピールした。

佐藤製薬＝https://www.sato-seiyaku.co.jp/
セルフチェックサイト「爪が気になる これって病気？」＝https://www.sato-seiyaku.co.jp/tsume-mizumushi-joho/nail-check/