- Health&Medical2024/07/16 19:48
日本腎臓病協会と協和キリン、慢性腎臓病(CKD)の疾患認知度に関するアンケート調査、疾患認知度は全体で44.6%に
日本腎臓病協会と協和キリンは、2019年5月に締結した「腎臓病の疾患啓発活動に関する連携協定」に基づき、腎臓病に対する啓発活動の一環として、慢性腎臓病(CKD)の疾患認知に関するアンケート調査を継続的に実施している。今回は昨年11月に実施した最新の調査結果について発表した。その結果、疾患認知度は全体で44.6%、年齢層が上がるにつれ認知度は向上している。20~40代の認知度は3割程度であったが、年代とともに向上し、70代では72.0%であった。「症状を含めてよく知っている」は、全体で7.0%から7.5%に上昇している。
慢性腎臓病(CKD)は脳卒中、心臓病、認知機能障害とも関係しており、国民の健康寿命を損なう要因となっている。日本では1480万人の患者がいると推計されている(日本腎臓学会編.エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023から)。今回は、20歳から70歳代の一般市民1624名を対象に、慢性腎臓病(CKD)に関する認知度について、インターネットによる全国アンケート調査を実施した。
その結果、慢性腎臓病(CKD)を「症状も含めてよく知っている」あるいは「病名だけは知っている」と回答したのは全体の44.6%だった。年代別にみると、若年層(20~40代)においては3割程度の認知度であるが、年齢層が上がるにつれて認知度が向上し、70代では72.0%だった。「症状を含めてよく知っている」は、全体で7.0%から7.5%に上昇していた。
慢性腎臓病(CKD)の予防策に関する設問に対して、「定期的に健康診断や人間ドックを受ける」と回答した割合が60.0%と最も多く、次いで「減塩・減量や禁煙等、生活・食習慣に気を付ける」回答は46.9%だった。また、健康診断や生活習慣病への治療にあたる「尿蛋白陽性やeGFR低下を指摘されたら、指示通りに医療機関を受診する」や「糖尿病や高血圧」等、「慢性腎臓病(CKD)の原因となる疾患の治療を継続する」の回答はそれぞれ37.7%、33.2%と確認できた。
健康診断あるいは人間ドックを定期的に受けない理由として「費用がかかるから」が最多(37.4%)、特に30代(46.3%)と40代(43.0%)で多い結果だった。また40代では、健康診断や人間ドックを受けることに不安・抵抗があるからの回答も多くみられた(25.8%)。
今回の調査結果について、日本腎臓病協会理事長、川崎医科大学 高齢者医療センター 病院長、特任教授の柏原直樹先生は、「腎疾患対策検討会報告書において、通知後5年目の中間評価では、さらに推進すべき事項として、『勤労世代への啓発』が強調されている。2024年には日本腎臓病協会と協和キリン共催で世界腎臓デーにあわせた一般市民向けの啓発イベントを実施した。慢性腎臓病(CKD)は自覚症状が乏しくても重症化すると健康上の影響が大きいことから、今後も健康診断における尿蛋白やeGFRの認知を高めることを含め、継続した啓発活動を行うことが重要となっている。その一方でCKDに罹患している人の重症化を防ぐためのサポート体制や早期の診断・適切な治療の体制を全国でさらに整備していくことも望まれる」と述べている。
今回のアンケート調査については、第67回日本腎臓学会学術総会(6月29日)で発表された(民における慢性腎臓病(CKD)の認知度に関するアンケート調査~2023年度~)。日本腎臓病協会と協和キリンは今後も「腎臓病の疾患啓発活動に関する連携協定」に基づき、慢性腎臓病に関する疾患認知度調査の実施をはじめ、腎臓病の疾患啓発と対策活動に協力して取り組みを進めていく考え。
eGFRとは、Estimated glomerular filtration rate(推算糸球体ろ過量)の略。腎移植ドナーなど正確な腎機能評価が必要な場合にはGFR測定のgold standardであるイヌリンクリアランス法を実施するが、日常臨床では血清クレアチニン値の測定結果を基に算出されるeGFRが用いられる。