- Health&Medical2024/10/07 18:51
アッヴィ、10月8日を「乳房再建を考える日」として記念日登録、乳房再建の認知向上と理解促進に向けメディアセミナー開催
アッヴィ アラガン・エステティックス(以下、アッヴィ)は、エンパワリング ブレストキャンサー(以下、E-BeC)と協働で、「乳房再建」の認知・理解向上を目的に、毎年10月8日を「乳房再建を考える日」として記念日登録を行った。これにあわせて、「乳房再建の選択肢が当たり前の世の中へ ~乳がんになった後も、患者さんが自分らしく生きるために~」と題したメディアセミナーを9月26日に開催した。セミナーでは、各専門家と患者支援団体を招き、乳がん治療における乳房再建の考え方や、乳房再建の方法等について解説してもらった。また、E-BeCが出版する乳房再建経験者の写真集「New Born 乳房再建の女神たち」の展示が行われ、モデルを務めた齋藤真希さんが自身の体験や写真集に対する想いを語った。
乳がんは、がんの中でも日本女性がかかる割合(罹患率)が最も高いと同時に、近年、乳がんにかかる女性は増え続けている。一方で、乳がん全摘手術後の乳房再建は、保険適用となって11年が経過したが、依然として日本における乳房再建の実施率は低い状況であるという。こうした現状を踏まえ、東京女子医科大学病院 乳腺外科 教授・基幹分野長の明石定子先生は、「乳がんにかかる日本女性は増加傾向にあり、他のがんと比較して若年発症が多いのが特徴となっている。一方で、乳がんの部位別5年相対生存率は90%以上と非常に高く、ただ治すだけでなく、治療後の長い人生を考えることも大切である」と指摘する。「乳がん女性の苦痛度を調査した結果によると、トップ20位のうち60%が外見症状で占められており、外見の変化が社会生活に大きな影響を及ぼしていることも明らかになった」と、アピアランスケアの重要性について言及。「世界と日本の乳房再建率を比較すると、米国の40.0%、韓国の53.4%に対して、日本は12.5%と著しく低いのが実状だ。特に地方の実施率が低い傾向にあり、乳房再建が行える環境を全国に整備する必要がある」との見解を述べた。
続いて、富山大学学術研究部医学系 形成再建外科・美容外科 教授の佐武利彦先生が、今年7月に日本形成外科学会から発刊された「患者さんと家族のための乳房再建ガイドブック」について紹介した。「このガイドブックは、乳がん患者とその家族が最初に手にする乳房再建の専門テキストを目指し、患者が知りたい乳房再建に関する質問項目を取り上げ、わかりやすく解説している。また、乳房再建診療ガイドライン2021年版を参照できるようにしており、50のQ&A、8のコラム、乳房再建の費用などを掲載している」と、ガイドラインのコンテンツ概要を説明。「どこから読めばよいのか、わかりやすくツメを付けると共に、基本事項についてはアウトラインで簡潔に記載している」と、患者や家族が読みやすいよう工夫したという。「今後、乳房再建の国内での普及に向けて、同ガイドブックの動画サイトを作成する他、外国版(英語版・中国語版・韓国語版)も作成していく予定」と、乳房再建ガイドブックに関する今後の活動計画を発表した。
乳がん後乳房再建術の概要について、ブレストサージャリークリニック 院長の岩平佳子先生が解説した。「乳がん後乳房再建術は、再建に使う素材によって『自家組織再建』(腹部脂肪、背中の筋肉、尻、太もも)、『人工物再建』(エキスパンダー+シリコーンインプラント)、『両者の併用』(シリコーンインプラント+脂肪注入)に分類される。また、再建時期によって、乳がん手術と同時にエキスパンダーを挿入する『一次二期再建』と、術後しばらく経ってから再建する『二次二期再建』に分類される」とのこと。「ブレストインプラントについては、手術後10年ごとに入替手術が必要になると誤解している人も多いが、インプラントに破損等がなければ入れ替える必要はない」と教えてくれた。「乳房再建術の保険適用が進んでいる一方で、コロナ禍によって乳房再建は不要不急なものと考えられ、全摘したまま再建していない人が増えている。しかし、乳房再建は、乳がん患者の年齢や地域、社会状況に関係なく、QOLを向上するうえで非常に重要であると考えている。特に、人工物再建は体への負担も軽く、他の部位を傷つけることもなく、保険適用で手術が可能となっている。ぜひ正しい情報を知って、自分に合った選択をしてほしい」と提言していた。
E-BeC 理事長の真水美佳氏は、「乳がんになった後も私らしく生きる」と題した講演を行った。「私は、2007年に乳がんの確定診断を受け、2008年に乳房再建を行った。その後、2010年に乳房再建経験者の写真集を出版したことをきっかけに、ボランティア活動をする中で、首都圏と地方との情報格差を実感した。そこで、地方にも乳房再建の正しい情報を届けたいと考え、2013月1月にE-BeCを設立した」と、自身の乳房再建経験からE-BeC設立に至る経緯を語る。「E-BeCが昨年実施したアンケート調査でも、依然として首都圏と地方の情報格差や医療格差、社会の無理解がハードルになっていることが浮き彫りとなった。そのため、乳房再建手術が保険適用になっていることを社会に広く知ってもらい、特別な手術ではないことを理解してもらう必要がある。また、乳腺外科医や医療スタッフから、さまざまなタイミングで乳房再建手術について伝えることも大切だと感じている。そして、メディアでも、乳房再建に関する情報をもっと取り上げてもらいたい」と、乳房再建手術の正しい情報をより多くの人に知ってもらう必要があると訴えた。
セミナー会場では、E-BeCが10月に出版する2冊目の写真集「New Born 乳房再建の女神たち」の展示も行われた。同書は、写真家の蜷川実花氏が撮影を担当し、乳房再建手術を受けた12人のモデルの写真とメッセージで構成された、見ごたえ・読みごたえのある1冊となっている。写真集のモデルを務めた齋藤真希さんは、「15年前に私の母が乳がんにかかり、乳房再建を行った。その結果、母が笑顔になり、母としてさらに強くなり、憧れの存在になった。そして、私も同じ病気にかかったとき、乳房再建をして母のように強くなりたいと思った」と、母親の存在が乳房再建を後押ししてくれたと語る。「以前は引っ込み思案で、みんなの前に立つことは苦手だったが、乳房再建をしてからは、人生一度きりだし、やりたいことは何でもチャレンジしようと考えるようになった。今回、母として、女性としてもっと輝いていたいとの想いから、写真集のモデルに挑戦した」と、写真集を通じて、乳房再建に悩んでいる多くの人が前向きな気持ちになってくれることを願っていた。
アッヴィ アラガン・エステティックス=https://www.allerganaesthetics.jp/about/about-allergan-aesthetics
エンパワリング ブレストキャンサー=https://www.e-bec.com/
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