富士経済、セルフヘルスケアの国内市場と実施状況・ニーズの調査、2030年セルフヘルスケアの国内市場は7兆4944億円に

総合マーケティングビジネスの富士経済は、高齢化が進む日本において、医療費上昇という社会課題への解決策の一つとして、メディカルケア(医療機関での治療)からのシフトが進み拡大が予想される、セルフヘルスケア(自分自身による健康ケア)の国内市場を調査した。その結果を「2024 セルフヘルスケア市場の最新トレンドデータとポテンシャル分析」にまとめた。その結果、2030年市場予測では、各コンセプトでそれぞれの製品・サービスが充実することで拡大し、セルフヘルスケアは7兆4944億円に達する見通しだ。この内、疲労回復関連は全体の2割弱を占める巨大市場となり、1兆3615億円を見込む。セルフヘルスケアの実施・ニーズともに上位にランクインしており、効果的な対策が求められる。

この調査では、20のコンセプトを対象にセルフヘルスケアを目的とした一般用医薬品・医薬部外品、健康・機能食品、化粧品、生活用品、機器・その他用品、サービスの市場を分析した。また、一般消費者1万人のアンケート調査を行い、コンセプト別のセルフヘルスケアの実施状況やニーズ(今後取り組みたいセルフヘルスケア)を明らかにし、コンセプト別のセルフヘルスケアの潜在需要(ターゲット人口)を算出した。

なお、ニーズが男女ともに高く、注目される睡眠サポート関連のセルフヘルスケア市場については10月11日に発表している。

一般消費者1万人(男性:5059人、女性:4941人)に対して、今回対象とした20のコンセプト別にセルフヘルスケアの実施状況とニーズ(今後取り組みたいセルフヘルスケア)の把握を目的にアンケート調査を実施した。実施ランキングでは、男性は疲労回復が1位であり、特に働き盛りの40代以降の実施率が高かった。次いで2位栄養補給、3位腸内環境改善と続いた。女性は1位が肌ケアで実施率が64.7%と突出して高かった。次いで、2位腸内環境改善、3位オーラルケアと続き、男性に比べて実施率が高い傾向にある。腸内環境改善は、男性3位、女性2位であり、ヨーグルトや乳酸菌飲料が各世代で広く認知され、食生活の中で習慣化していることが実施率の高い要因と考えられる。ニーズランキングでは、男性、女性ともに1位は睡眠サポートとなった。睡眠は休息、安らぎを得るための時間であり、今や国民の4人~5人に1人が睡眠について何らかの悩みを持っているといわれ、ニーズの高さが感じられる。男性は実施率が1位の疲労回復が2位であり、3位にアイケアが続く。女性は、睡眠サポートに次いで2位にダイエットが続いており、女性にとって関心の高い分野であることがうかがえる。また、免疫ケアは男性、女性ともに4位であり、年代による差も少なかったことから、幅広い層でニーズがあることがわかる。

セルフヘルスケアを目的とした製品・サービスは多様な領域で展開されており、今回対象とした20のコンセプトの合計市場は2024年で7兆1190億円が見込まれる。コンセプト別の市場は肌ケア関連が1兆7956億円、疲労回復関連が1兆2385億円と1兆円を超えており、次いでダイエット関連が6206億円、栄養補給関連が4600億円と続いている。今後高い伸びが期待されるコンセプトとしては、睡眠サポート、メンタルヘルス、認知機能サポート、尿トラブルであり、中でも睡眠サポートは潜在需要の高い有望市場とみられる。各コンセプトでそれぞれの製品・サービスが充実することで市場は拡大し、2030年の市場は7兆4944億円が予測される。

疲労回復関連の2024年見込は1兆2385億円で、2030年予測は1兆3615億円を見込む。疲労回復関連の市場は、食品形状の機能性食品やサプリメント、一般用医薬品、家電用品やグッズを対象としている。また、サービスは、マッサージや整体のほか、スマホアプリによる健康管理サービスも含む。疲労とは心身に過度な負担がかかり、身体が休息を求めている状態であり、セルフヘルスケア実施ランキングでは男性が1位、女性が5位と高く、2024年で1兆2385億円が見込まれ、巨大な市場を形成している。市場はサービスの比率が高く、マッサージや温浴施設が性別、年齢を問わず手軽に利用できる疲労対策として定着している。また、美容×疲労、ストレス×疲労など、今後も新たな切り口での疲労対策サービスの登場が期待される。市場の拡大をけん引するのは、エナジードリンクが含まれる健康・機能食品であり、ドリンク剤(一般用医薬品)からのシフトやカフェインフリー、シュガーフリーなど独自色を打ち出したブランドの投入によって伸びが続き、2030年の市場は全体で1兆3615億円が予測される。セルフヘルスケアの実施率では、男性、女性ともに40代が高く、女性は更年期の時期と重なる50代も比率が高い。ニーズを持つ層としては、30代女性、40代男性が多いが、サービスについては20代、30代の若年層が多い。既に実施率が高い一方で、ニーズも高いことから、より効果的な製品・サービスが求められているといえる。

脂肪・コレステロール値改善関連の2024年見込は3981億円で、2030年予測は4226億円を見込む。脂肪・コレステロール値改善関連の市場は、一般用医薬品、健康・機能食品、BtoC向けに提供される健康管理機器で測定/収集したデータを管理するサービスを対象とした。サプリメントやドリンク類がけん引する健康・機能食品が中心で、特にコロナ禍の巣ごもり生活で増加した体重を改善するための手軽な手段として機能性の茶系飲料を飲用する層も多い。一方、一般用医薬品は、血清高コレステロール改善薬、中性脂肪値改善薬の認知が進んでいないことや、効果が実感し難いといった点から継続利用のハードルが高く、需要は健康・機能食品に流れている。サービスでは生活習慣病対策として食事管理関連アプリが伸びているが、スマホアプリは参入障壁が低く、無料アプリが乱立していることから、企業間の競合が激化している。セルフヘルスケアの実施率では、40代男性、50代女性が高く、ニーズを持つ層としては、それらの層に30代男性、40代女性が加わる。脂肪・コレステロール値改善に加えて、高血圧予防、血糖値コントロールなど生活習慣病対策関連は、ニーズランキングの順位が実施ランキングの順位を上回っており、潜在ニーズの高さがうかがえる。

[調査方法]富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
[調査期間]7月~8月
[小売価格]
書籍版:19万8000円
書籍/PDF版セット:23万1000円
書籍/PDF+データ版セット(全体編):25万3000円
ネットワークパッケージ版:39万6000円
(すべて税込)

富士経済=https://www.fuji-keizai.co.jp


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