富士経済、心不全関連の血液検査・医薬品・関連製品の国内市場調査、2030年は血液検査(BNP・NT-proBNP)が167億円と予測

総合マーケティングビジネスの富士経済は、早期診断・早期治療介入から今後劇的な変化が予想される心不全関連の検査や医薬品、心不全治療用アプリや再生医療など関連製品の市場を調査した。その結果を「心不全関連市場のフォーキャスト分析」にまとめた。2030年国内市場予測(2023年比)では、血液検査(BNP、NT-proBNP)が、早期の医療介入を目指した検査数の増加や、健診オプションでの検査実施増加によって拡大し、167億円(12.8%増)を見込む。医薬品(対象5剤、ジェネリック医薬品、ほか)では、重症度を問わず処方できる医薬品が登場。軽症(左室駆出率の保たれた)患者向けの開発も活発で、1020億円(2.5倍)と予測する。

この調査では、血液検査としてBNP、NT-proBNP、医薬品として対象5剤とそのジェネリック医薬品、2024年時点の開発パイプラインでフェーズ3にある心不全向け薬剤、その他の心不全関連製品として、ホルター心電計、ペースメーカー、SaMD、再生医療を取り上げ、最新の市場をまとめ、将来を展望した。

2023年に日本、欧州、米国の心不全学会は、前心不全や心不全の患者に対して医療の早期介入を目標に、心不全診断や循環器専門医への紹介基準となるBNP、NT-proBNPのカットオフ値の大幅な引き下げを行った。今後は心不全の早期医療介入のため、検査数が大きく伸びると予想される。また現在心不全治療用アプリの開発や再生医療の治験が進められている。これらの実用化は心不全治療の大きな変化に繋がり、すでに標準治療で活用されているSGLT2阻害剤やARNIといった医薬品の市場にも影響を及ぼすと考えられる。

血液検査は、心不全診断に用いられるBNP検査、NT-proBNP検査を対象とする。市場は、早期治療介入を目指した検査数の増加に加え、将来的には健診オプションで検査実施率が高まることで拡大していき、2030年は167億円が予測される。現状の内訳ではBNPの規模が大きいが、今後はNT-proBNPの構成比が徐々に高まっていくとみられる。健診での需要が増加することや、「エンレスト」(ノバルティスファーマ)の普及によって、治療効果のモニタリングとして検査数が増加すると想定される。

医薬品は、SGLT2阻害剤、ARNIなど5剤を対象とし、それらのジェネリック医薬品や2024年時点のフェーズ3開発品も含む。また心不全治療薬としての売上のみを対象とする。2023年以降、SGLT2阻害剤の複数の製品が重症度を問わず慢性心不全患者へと適応拡大され、比較的軽度なHFpEF、HFmrEF患者への投薬が大幅に増加しており、市場も拡大している。重症患者向けについても処方可能な医薬品が増えており軽度患者向けの開発品も複数あることから、2030年の市場は、2023年比2.5倍の1020億円になると予測される。

関連製品は、ホルター心電計やペースメーカー、SaMD(Software as a Medical Device)、再生医療を対象とする。2024年時点ではSaMD、再生医療は市場が立ち上がっていない。高齢者を中心とした心不全患者の増加や心不全予防医療の高まり、ペースメーカーの導入タイミング早期化などにより市場拡大が予想される。ホルター心電計は近年横ばいであったが、不整脈患者の検査数増加や在宅医療での需要増加により今後拡大していくとみられる。

SaMD(心不全治療用アプリ)は2028年ごろ市場が立ち上がると予想される。すでに高血圧治療用アプリ(市場対象外)が存在しているため、治療用アプリの認知の広がりや、高血圧治療用アプリとの併用の想定されるため、比較的スムーズに浸透することが期待される。再生医療は、現在再生医療企業のHeartseedによりiPS細胞を心臓治療へ実用化する治験が世界で初めて進められており、2030年以降に市場が立ち上がるとみられる。

[調査方法]富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
[調査期間]9月~10月
[小売価格]
PDF版:33万円
ネットワークパッケージ版:49万5000円
(すべて税込)

富士経済=https://www.fuji-keizai.co.jp


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