- Health&Medical2024/12/13 17:13
働くシニアの聴力ケア最前線、進化するBluetooth搭載補聴器がアクティブシニアの「聞こえ」をサポート
総務省統計局が「高齢者の労働力調査の結果」などをまとめた統計トピックスによると、2022年の65歳以上の高齢の就業者数は912万人で、過去最多となった。人生100年時代といわれる現在、定年後も元気に働き続けたいと考えるアクティブシニアは増加傾向にある。一方で、こうしたアクティブシニアの雇用に影を落としているのが「難聴」の問題。職場でのコミュニケーションにおいて、聞こえることは極めて重要だが、加齢にともなう聴力の低下は徐々に進行するため、本人が気づきにくいという特徴がある。また、日常生活にはあまり支障がなくても、小さい声や騒がしい環境での会話が困難になり、特にオンライン会議での音声が聞き取りにくくなるなど、現代の職場環境に適応することが難しくなっている。これらの要因によって、多くのアクティブシニアが職場での聞こえに関する悩みを抱えているようだ。そこで今回、働くシニアの聴力ケア最前線を探った。
日本におけるアクティブシニアの難聴問題には、補聴器の普及が海外よりも遅れているという実状がある。日本補聴器工業会が実施した調査「JapanTrak(ジャパントラック)2022」によると、聞こえにくさを自覚している人の割合は10%。その中で、補聴器を所有している人の割合は15.2%と、世界で欧州各国や中韓など世界16ヵ国中15位だった。欧州各国などの所有率は3~5割で、日本の低さが際立っている。この背景には「我慢する」という自己犠牲の精神や、「年のせいだろう」と耳鼻科を受診する人が少ないことなどが指摘されている。
補聴器を装着すると、今まで聞こえなかった音が聞こえるようになり、生活のさまざまな場面で不便が軽減され、より快適に過ごすことが可能となる。聞こえるようになった結果、うつ病のリスク低減、睡眠の質の向上、腰痛や肩こり、疲れやすさの軽減にもつながるのではないかと考えられている。「JapanTrak 2022」の最新データによると、補聴器所有用者の90%は補聴器が仕事上で役に立っていると回答していることがわかった。
最近では、日本においても補聴器に対する認識が大きく変化してきている。実際に、今年10月に開催された「Age-Well Festival」で最新補聴器を体験したシニアからは、「補聴器は、雑音がたくさん聞こえると思っていた。嫌な音がしたり、耳が圧迫されると思っていた。でも、実際に補聴器の音を試してみて、音がクリアな感じだと思った。あと、補聴器が小さいのでイヤリングをしている感覚」(60代女性)、「補聴器を着けていることを知られたくないし、補聴器を着けている人は、障害がある人というイメージがあった。しかし、体験してみて実際は目立たなくて、髪の毛で隠れるし、おしゃれで良いと感じた」(60代男性)など、従来のイメージを覆す声が多く聞かれたという。
例えば、GNヒアリングジャパンが1月30日に発売した補聴器「リサウンド・ネクシア」は、最新Bluetooth規格の「Auracast」を補聴器に世界初搭載(昨年9月時点)。対応端末からの高音質な音声を複数人で同時に聞くことができる。また、騒音下での聞き取りにおいてトップクラスの評価を得ており、騒がしい環境でも周囲の音を聞き逃すことなく、聞きたいことに集中でき、音の細部までクリアに届くという。5月9日からは「リサウンド・ネクシア」シリーズのラインアップを拡充。業界最小サイズ(充電式RIE、昨年11月時点)の耳かけ型(充電式RIE)に加え、耳かけ型(BTE)と耳あな型(充電式も含む)を取り揃え、様々な聴力やライフスタイルのニーズや好みに対応している。
Bluetoot搭載補聴器は、スマホと接続することで電話や動画の音を補聴器から直接聞くことができるが、今までは、家庭内で2人以上の難聴者がいる時、複数の補聴器で同時に聞くことはできなかった。「リサウンド・ネクシア」では、Auracastを搭載することでマルチストリーミングに対応。テレビやスマホまたはタブレットなど1つのデバイスから複数の補聴器へ同時に音声を届けることができる。
補聴器技術が進化している一方で、そもそも補聴器の選び方がよくわからないというシニアも少なくない。補聴器には、耳かけ型、耳あな型など様々なタイプがあり、本人の生活スタイルや目的に合わせて選択する必要がある。また、人によって、聞こえにくさの度合いが違うため、その人の聴力に合わせて調整していくことが大切となる。
補聴器の選び方のポイントとしては、まず補聴器相談医の問診・診察・検査を受け、補聴器が必要かどうか、どのような補聴器の装着が有用かを相談する。軽度難聴でも補聴器を着けたほうがよい場合もあるので、ライフスタイルや困りごとを打ち明けて、判断してもらうとよいとのこと。
次に、補聴器の調整には専門の知識と技術が必要となるため、補聴器の専門スタッフに調整をしてもらい、自分に合った補聴器を購入する。聞こえの状況について、専門スタッフがカウンセリング・聴力測定をし、聴力データや使用環境に合わせて適正な器種を選択。その後、試聴や調整(フィッティング)をし、利用者にあった補聴器を決定する。
さらに、補聴器は「購入したら終わり」ではない。補聴器を着けると聞こえていなかった音が聞こえるようになるため、最初はうるさいと感じるかもしれないが、様々な音を聞いていくうちに慣れていくという。補聴器を使用する中で、聞こえに不具合を感じることがあれば補聴器販売店で再度調整を行う必要がある。購入後も調整と使用トレーニングやアドバイス等のケアを受けながら、自分に合った補聴器にしていくことが大切とのこと。目安は3ヵ月程度となる。
もっと手軽に聞こえをチェックしたいという人は、「耳年齢チェック」アプリを活用するのも一つの手。GNヒアリングジャパンでは、「モスキート音」を使って「耳年齢」をチェックできる無料のiPad/iPhone用アプリ「モスキートゲーム」を提供している。「モスキートゲーム」は、病院で行われている聴力検査とは異なり、あくまでも簡易な耳年齢チェックゲームとなる。聞こえの低下が心配の場合には、耳鼻科医師に相談してほしいという。なお、会話での聞き取りに必要な音は250Hzから3000Hzの周波数帯に集中しているため、日常生活で支障が出てくるのは健康な聞こえの人で、50歳代前後から始まるといわれている。
アクティブシニア世代を悩ませている難聴は、「軽度でも放置しないこと」、「自分では気づきにくいため、周囲の人が変化に気付いて聴力検査を勧めること」が重要とされている。特に、「聞こえないわけじゃない。でも何だか聞き取りにくい」といった微妙な聞こえの変化に気づき始めた人は、一度補聴器専門店などで最新補聴器を体験してみては。
GNヒアリングジャパン=https://www.resound.com/ja-jp/
耳年齢チェック「モスキートゲーム」=https://www.resound.com/ja-jp/hearing-loss/jp-miminenrei
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