げんきな免疫プロジェクト、受験家族が行うべき感染症対策について専門医が解説、受験30日前からの免疫ケアが重要に

「免疫のケア」で健康に過ごせる毎日の実現を目指す「げんきな免疫プロジェクト」は、プロジェクトの一環として、いよいよ本格化する受験シーズンを目前に、総合内科専門医・大竹真一郎氏監修の元、受験生および家族が行うべき、感染症の対策や免疫ケアの方法について情報を公開した。なお、「免疫のケア」は、健康を維持するための「外敵と戦うカラダの防御システム」である免疫機能を、正常に働かせ、その状態を維持するための行動のことをいう。

今年は、例年に比べて流行している感染症が増加している。インフルエンザは例年よりも1ヵ月早く流行しており、加えて今年は「インフルエンザ」「新型コロナウイルス」「マイコプラズマ肺炎」の3つの感染症が同時流行する“トリプルデミック”の注意喚起が高まっており、すでに複数の感染症に同時感染している人が現れている。特に今年は、潜伏期間が長いとされるマイコプラズマ肺炎が流行しており、11月17日までに全国の医療機関から報告された患者数は、1医療機関当たり2.84人と過去最多を更新した(国立感染症研究所 IDWR速報データ 2024年第46週(2024年11月11日~17日))。

こうした状況の中、受験生はもちろん、家庭内感染を防ぐために、家族の体調管理・感染症対策のあり方が問われている。トリプルデミックといわれている「インフルエンザ」「新型コロナウイルス」「マイコプラズマ肺炎」のそれぞれの感染症ウイルスの潜伏期間は、インフルエンザが1日~4日間(国立感染症研究所感染症情報センター インフルエンザとは/労働者健康安全機構 関東労災病院 インフルエンザとは/厚生労働省 令和6年度インフルエンザQ&A)、新型コロナウイルスが3日~5日間(国立感染症研究所 国立国際医療研究センター 国際感染症センター/「新型コロナウイルス感染症診療の手引」7ページ)、マイコプラズマ肺炎は2週間~3週間ほど。発症まで最大で21日ほど(厚生労働省 マイコプラズマ肺炎/国立感染症研究所 マイコプラズマ肺炎の発生状況について)かかるといわれている。

特にマイコプラズマ肺炎は潜伏期間が長いため、受験生は中長期的な対策が必要となり、受験本番日から逆算した場合、30日前からの感染症対策が重要になってくる。そのため、1月の全国共通テストや、2月の受験シーズンに焦点を当てると、すでに対策は本番を迎えているといえる。

また、総合内科専門医の大竹氏によると「今年は10月が例年以上の暑さとなったことで、生活者がインフルエンザの予防接種を受けるペースが遅れている印象がある。さらに、ワクチン接種の繰り返しに生活者が疲れてきており、そのため接種率が低下してきている可能性もある」と述べていることから、今年ならではの対策や、今後できる新しい免疫対策も必要になってきているという。

歯学部生を対象にした、「精神的ストレス唾液中のlgA分泌速度の関係」の研究(JB Jemmott 3 rd , et al, Academic stress, power motivation, and decrease in secretion rate of salivary secretory immunoglobulin A)によると、精神的ストレスが大きくかかる試験期間中は免疫機能が低下するという結果となり、精神的ストレスの大きさと免疫機能の低下は相関関係にあることがわかっている。そのため、受験生に精神的ストレスが大きくかかることが予想される受験シーズンは免疫機能低下の懸念があり、より一層の感染症の予防が求められている。

免疫機能の維持にはバランスの良い食事、十分な睡眠、適度な運動など日々の生活習慣の直しが大切となる。ビタミンC、D、亜鉛などの栄養素は免疫力をサポートし、特に冬は日照時間が短くビタミンDが不足しがちなので、サプリメントや食事で補うことが重要とされている。また、野菜や果物、良質なタンパク質を摂ることで、免疫システムの機能を高めてくれる。腸内環境を整えることも免疫機能を高めることに効果的とのこと。全身の免疫細胞の7割は腸の粘膜にいるといわれており、腸内環境を整えるために善玉菌を含む発酵食品やそのエサとなる食物繊維を意識して摂るとよいという。その他にも、乳酸菌飲料なども活用すると、免疫のケアを習慣的にも取り入れやすいとしている。

複数の感染症が流行する今年、基本的な「手洗い・うがい」「マスクの着用」「換気」を行うことも、とても重要だ。特に手洗い・うがいを取り組むことは習慣になっているが、感染症が流行する今、手洗いに行ったら必ずうがいまで徹底するなど、こまめな対策が必要とのこと。加えて、「げんきな免疫プロジェクト」では、受験生と家族がすべき10の感染症対策を提唱している。

家庭内では、通常の感染症予防で奨励されている手洗い、マスク、換気、ワクチンでは不十分なことが多いため、接触感染で広がる感染症についても意識して対策をしていくことが重要だという。まず、1つ目の対策は「正しく手洗い」。ハンドソープをつけて30秒~1分程度洗い、流水でしっかりすすぐ。清潔なタオルやペーパータオルで水をよく拭ききって乾かす。手を洗う場所がない、洗面所まで行けない場合は、アルコール製剤やアルコールを含んだウェットティッシュなどを使用してもよいとのこと。

2つ目は「むやみに顔を触らない」。手に付着したウイルスが目、鼻、口に触れることによって感染をすることがあるので、素手で顔に触れないようにする。3つ目は「加湿器を使用し保湿を徹底」。空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が低下し感染をしやすくなる。加湿器などを使って、適切な湿度(50%~60%)を保つことを心がけてほしいという。4つ目は「室内ではこまめに換気をする」。常時換気設備や換気扇を常時運転し、定期的に窓を開けるなどをして換気をしっかり行うようにする。5つ目は「十分な休養とバランスのとれた栄養摂取」。感染症に負けない免疫力を付けるためには十分な休養と十分な栄養摂取が重要になる。

6つ目の対策は「人混みや繁華街への外出を控える」。人が集まるところは感染リスクが高まりやすいため、回避することが大切となる。7つ目は「マスクの着用」。マスクの予防効果は完全ではないが鼻や口に直接触れることを防ぐことができる。やむを得ず人混みの多いところへ外出をする場合には、ある程度、飛沫感染等を防ぐことができる不織布製マスクを着用することを推奨している。マスクを使用した場合は帰宅後には、できれば玄関口でマスクの外側を内側に折りたたんで捨てるようにしてほしいという。8つ目は「料理は大皿を避け、個々の盛り付けにする」。摂取する食材にも、ウイルスが付着するのを避けるために重要とのこと。

9つ目は「トイレや洗面所のタオルの共用を避ける」。共用の物は不特定多数が接触する分、雑菌やウイルスが繁殖しやすくなる。あらかじめ利用を控えることで感染を予防できるという。最後の対策は「万が一、家族内に感染者が出た場合、看病は1人に限定する」。家庭内感染において、最もケースが多いのが、家族の看病からの感染拡大。看病をする人を限定的にすることである程度感染拡大のリスクを下げられるという。

総合内科専門医の大竹真一郎氏

大竹氏は、「現在の感染症の流行は、例年に比べて流行が早く、今年は『インフルエンザ』『新型コロナウイルス』『マイコプラズマ肺炎』の3つの感染症が同時流行する“トリプルデミック”の注意喚起が高まっており、すでに複数の感染症に同時感染している人が現れている。さらに、この傾向を踏まえると受験期においては、寒暖差も激しく、例年より早くインフルエンザが流行したことから、受験期の感染症が加速する可能性が高いと予測している。例年、インフルエンザ感染症のピークは1~2月といわれているが、今年は、年内に感染のピークを迎えるのではないかと前倒しが予想される。また、すでにダブル感染者が増え始めているが、受験期中の家庭内ダブル感染やトリプル感染なども十分にあり得る状況で、感染症の長期化が見込まれている」と、受験期に感染症リスクが高まる恐れがあると指摘する。

「これを防ぐための基本的な対策として、手洗い、マスクの着用によって手指や呼吸器を介してウイルスや細菌を体内に入れないといったことが重要となる。今年は潜伏期間の長い感染症も流行しており、受験生家族は30日前からの中長期的な感染症対策が大切だ。そのため、手洗いなどの基本的な対策も必要だが、外から入ってくるウイルスや細菌を防ぐだけでなく、入ってきたものに抵抗する免疫機能を高めておくことも重要になる。そこで、大切になってくるのが、“免疫のケア”。免疫のケアには十分な睡眠、バランスの取れた食事などを心がけてほしい」と、受験30日前から免疫対策に取り組むことが大切であるとアドバイスしてくれた。

「げんきな免疫プロジェクト」は、昨年5月に発足した、子どもから大人まで一人一人が「免疫ケア」で健康に過ごせる毎日の実現を目指すプロジェクト。現在、37企業・1団体・15自治体が賛同しており、免疫ケアの啓発に向けたアクションを行っている。自治体と協力しての健康と「免疫ケア」の啓発・学校授業・地域流通での啓蒙イベントを実施。全国の小学生を対象にした免疫について学ぶ授業は2022年から継続的に実施し、これまでに2万人以上に授業を行い、保護者も含めた家庭内での「免疫のケア」の意識向上に取り組んでいる。

げんきな免疫プロジェクト=https://www.genkimeneki.jp/


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