- Health&Medical2025/04/01 19:44
明治、「子どもの感染と免疫力」に関する意識調査を実施、新学期に向け免疫力を育てる「イクメン(育免)」を提唱

「健康にアイデア」をコーポレートスローガンに掲げる明治は、新学期に向けて、小学校3年生以下の低年齢の子どもを育てる全国の父母1000名と小児科医100名を対象に「子どもの感染と免疫力」に関する意識調査を実施した。その結果、父母の81%が「直近1年で子どもが感染症による発熱」を経験し、そのうち74%が「子どもから家族に感染症がうつった」ことがあり、家庭生活への影響が多岐におよんでいることがわかった。また、未知のウイルスへの感染予防が重視されたコロナ禍に子どもを持った親世代では、「子どもの免疫力を育てたい」という想いが76%と強いにも関わらず、「育て方を知らない」が77%。想いに反して、免疫力を育てる具体的な方法を会得できていないという問題意識をもつことが明らかになった。
一方、小児科医向け調査では、現在の子どもの免疫力が育っていないと感じる医師において、子どもの免疫力低下の原因として「コロナ禍での一般的感染症の未感染」81%、「過度な除菌」57%、「外遊びなど外出機会の減少」50%という回答が寄せられた。この結果に対し、小児科医で子どもの腸内細菌叢や免疫系の発達に詳しい関西医科大学副学長・小児科学講座教授の金子一成氏は、「幼いうち、特に3~4歳頃までにさまざまな病原体に触れることで、感染予防やアレルギーの発症を抑える免疫機能が育つ。また、12~13歳頃の思春期までに、免疫細胞の数が増えたり、免疫にかかわる臓器が成長する。免疫力が発達する時期には、子どもの清潔さを過度に意識せず、定期接種のワクチンをしっかり打ったうえで、外遊びなどさまざまな経験をさせてあげてほしい」と話している。
40年以上にわたり免疫研究を続けている明治では、乳酸菌研究に基づく健康価値の提案を行う他、昨年には、自宅で簡単に免疫力を測定できる「免疫チェック」の提供を開始した。コロナ禍を経たいま、マイコプラズマ肺炎、インフルエンザ、溶連菌、感染性胃腸炎など次々に“過去最多”を記録する感染症が報告されている(出典:感染症発生動向調査 週報(IDWR))。今回の調査は、免疫力が育まれる乳幼児期に焦点を当て、子育て世帯の感染実態を把握し、免疫力が特に育まれる乳幼児期から、子どもの免疫力を育てるという新たな発想の「イクメン(育免)」を意識し日々の生活に取り入れる意義を専門医と共に伝えていくことを目的としている。それでは、調査結果を詳しく見てみよう。

まず、昨年4月~今年3月の1年間で、父母向けに「子どもが感染症にかかり、発熱(38度以上の熱)した回数」を質問したところ、81%にあたる812人の父母が1回以上の感染があったと振り返っている。また、そのうち「ほかの家族にうつったかどうか」を聞くと74%が他の家族への感染があったと回答しており、高い割合で家族内感染が起きていたことがわかった。

子どもが感染症にかかったことによって父母が受けた影響として、「自身や配偶者の体調不良」(56%)、「突発的に仕事を休み、同僚に迷惑をかけたこと」(55%)となった。

また回答した父母の1/3以上(37%)が、「通常の生活に戻るまでに6日以上を要した」と回答しており、休日を踏まえると、実質1週間は仕事・社会生活に影響したと考えられる。

子どもの感染によって父母が負担に感じたこととしては、「子どもの付き添い・療養の負担」(45%)、「通院」(39%)、「家族内感染の予防策」(36%)、「自身の体調管理」(34%)、「食事の準備」(32%)と続き、実際に負担に感じたエピソードとしては「親も体調不良になり、食事の用意などがしんどかった」「食べられるものを買いに行きたくても買いに行けずネットスーパーを利用したことによって食費が上がった」など自身の不調や食事の準備に関する苦労が目立った。

また、核家族の共働き世帯が多い中、仕事、看病、感染拡大の防止、食事の準備などを並行する負担が親の体調にも影響し、子どもの体調を維持させることにプレッシャーを感じる親は約半数(48%)にのぼるなど心身への影響がうかがえる結果となった。

父母が免疫力を育てるために子どもに積極的に食べさせているものは、1位「ヨーグルト」(47%)、2位「納豆」(36%)、3位「みそ汁」(33%)で、いずれも小児科医の回答でもポイントが高い食品だった。小児科医では、このほかに「緑黄色野菜」(48%)、「青魚」(31%)を挙げる割合が高かった。
この結果について、金子氏は、「免疫力を育てるため実践している対策として、父母からはヨーグルトやみそ汁、納豆が上位に挙がっており、医師の回答と共通して腸内環境の改善、腸管免疫の促進に有用な発酵食品であることから、父母たちが医学的に正しい認識を持っていることが推測される。さらに、医師が重視している緑黄色野菜や青魚などを含むバランスの良い食事が望まれる。発酵菌を含む発酵食品と食物繊維の豊富な野菜の組み合わせは、体にとって有用な細菌を摂るプロバイオティクスと、腸内細菌のエサとなる成分を摂るプレバイオティクスの組み合わせ(シンバイオティクス)であり、腸の免疫力を活性化させるのに有効」と語っている。


コロナ禍以降に乳幼児を育てている父母は「子どもの免疫力を育てたい」という想いが76%と強いにも関わらず、「育て方を知らない」が77%という結果だった。実際に、「乳幼児期に様々な病原体と戦うことで免疫力が育つことを知らない」が58%、「乳幼児期に風邪にかかることでアレルギー疾患にかかりにくくなることを知らない」が65%と、想いに反して、免疫力を育てる具体的な方法を会得できていないという実態が浮き彫りになった。

小児科医向けの調査では、クリニック等で実際に感染症にかかった子どもを日々診察する一次医療機関に勤務する医師のうち、コロナ禍に乳幼児期を過ごした子どもの免疫力が弱い・育っていないと感じる医師は、半数近い42%にのぼった(「そう感じる」+「ややそう感じる」計)。そのように感じている医師に対し、子どもの免疫力低下の原因を聞くと「コロナ禍での一般的感染症の未感染」81%、「過度な除菌」57%、「外遊びなど外出機会の減少」50%という回答だった。

また、乳幼児期の衛生環境の改善と感染機会の減少など、病原体と触れる機会の減少がアレルギーの発症に関わるいわゆる「アレルギーの衛生仮説」について、61%の医師が認める結果となり、前問とあわせて病原体を過度に遮断しないほうが良いと考える医師が多いことが示された。小児科医に対する「子どもの免疫力は育てる(成熟させる)ことができるか」という質問では、「そう思う」「ややそう思う」という回答が合計67%にのぼった。

父母が「子どもの免疫力を育てる(強化する)ため、実践していること」は、「十分な睡眠を取らせる」(62%)、「規則正しい生活を送らせる」(57%)、「食事の栄養バランスに気を配る」(50%)と続いた。医師がすすめる対策方法と乖離が大きかったのは、「適度な運動をさせる」(医師の回答よりも父母の回答が26%低い)、「予防接種(ワクチン)を積極的に受けさせる」(同・25%低い)となった。

この結果に対し、金子氏は、「父母のみなさんは、睡眠・規則正しい生活・食事の栄養バランスなどよく気をつけていると思う。運動については、ぜひ親子での外遊びの機会をもってもらい、さまざまな異物や微生物に触れる機会を創ってもらいたいと思っている。幼いうちに免疫細胞に経験を積ませることを意識してほしい。また、ワクチン接種は予想よりも低い結果だった。定期接種のワクチンは、重症化しやすい感染症から子どもを守る術として確立されているので、漏れがないよう接種してほしい」と述べている。

今回の「子どもの感染と免疫力」に関する意識調査を踏まえて、金子氏は、「免疫とは『疫(疫病、はやり病のこと)』などを免れるために体に備わった防御機構のこと。疫の原因である病原体は、自分の体にとっては異物である。その異物が外部から入ってきたときに、『自分ではないものがやってきた』と即座に見分け、速やかに排除して自分を守る。その一方で、自分に対しては攻撃を行わない。これが正常な免疫の働きになる」と、免疫の役割について解説。「子どもが小さく、初めて集団生活を経験する頃は、1年で10回程度感染症にかかることも少なくない。多く感じるかもしれないが、さまざまな病原体に触れることで、感染症への抵抗力がつく。また、免疫の暴走であるアレルギーの発症を抑え、免疫が適切に働くトレーニングになる。このように、さまざまな役目をこなせるように分かれていく、免疫細胞の『分化(役割分担)』が進むのがおおよそ5歳頃までとされている。その後、12歳頃までは、免疫に関係する臓器の発達がみられ、細胞数が増えるため、さらに免疫の総力が上がる。免疫力は2つの段階を経て発達していく」と、免疫力がどのように成長していくのかを説明した。
「調査結果をみていると、いまの父母は感染予防の意識が高く、免疫力はウイルスに触れて育てるものという認識があまりないようだ。コロナ禍は未知のウイルスとの遭遇だったため、まず『感染予防』に目が向けられた。子どもを守るために行動に制限がかかることは致し方ないが、病原体に対して過保護になり過ぎても、免疫系が十分なトレーニングを積むことができない。近年、増加する子どものアレルギー体質も、背景には乳幼児期における病原体と戦う経験の不足があると考えられる」と、過保護では子どもの免疫力は育たないのだと指摘する。
「感染症による子どもの発熱は、父母にとっては非常に辛いことだと思うが、それは免疫力のトレーニングの機会でもある。免疫力を育てる工夫をすることで、症状が軽く済む可能性も高まるので、日頃から免疫力を育てる『イクメン(育免)』を意識してほしい。今回の調査で小児科医がすすめる対策として上位に挙がっている項目を意識すると良いと思う。睡眠・運動(特に外遊び)・規則正しい生活を心がけてほしい。また、ワクチンの定期接種は、最も確実な免疫強化方法なので欠かさないこと。食事の面では、腸の免疫系を刺激する発酵食品や緑黄色野菜をあわせて摂るシンバイオテイクスをはじめ、さまざまな食品をバランスよく食べさせる工夫が必要になる」と、子どもの免疫力を育てる「イクメン(育免)」が重要であると訴えた。
「子どもの症状が心配な時は、迷わずに周囲に相談してほしい。便利なサービスとして、子どもの症状をオンラインで入力するだけで、すぐに診察にかかるべきか、自宅で様子を見て良いかの判断を助ける『こどもの救急』(日本小児科学会作成)がある。また、救急に電話するかを迷ったら、『#8000(こども医療でんわ相談)』にまずかけてみること。核家族化・共働きが進む中では父母の負担を軽減することも重要。いざというときに利用できるサービスは日頃から調べておいてほしい。通院の負担を軽減するものとしてオンライン診察やオンライン薬局、感染症などにかかった子どもを預かってくれる病児保育など、便利なサービスは充実してきているので、このようなサービスも上手に活用しながら、病原体に負けずに子どもの成長をサポートしてもらいたい」と、子どもの発熱や体調が心配な時の対処法を教えてくれた。
明治では、子どもの免疫力の発達プロセスを知り、健全な発達を促すことを、子どもの免疫力を育む新たな考え方「イクメン(育免)」ととらえ、今後も小児科医をはじめとした専門家と一緒に考え発信していく。
[「子どもの感染と免疫力」に関する意識調査概要]
調査対象者:
(1)感染症を診断する一次医療機関(クリニック等)で過去5年以上診察する全国の小児科医100名
(2)低年齢の子ども(小学校3年生以下)を育てる全国の父母1000名
調査方法:インターネット調査(日本能率協会総合研究所調べ)
調査時期:2025年3月上旬
※構成比は小数点以下第1位を四捨五入しているため、合計は必ずしも100%とはならない場合がある