高カカオチョコの「食後」摂取による血糖値上昇抑制効果が明らかに、大人のダイエット研究所がヒト試験で検証

忙しい大人のための食の推進活動を行う大人のダイエット研究所は、ストレスなく手軽に始められる生活習慣改善や、身近な食材を活用した健康アドバイス、栄養バランスの良いランチボックス監修などを行ってきた。今回、糖尿病予防の一つとして定着しつつあるベジタブルファースト（野菜を食事の初めに食べる食事法）などの“食べる順番の工夫”による食後高血糖の抑制に着目し、高カカオチョコレートを、食前ではなく「食後」に摂取した場合でも、血糖値上昇抑制効果が得られることをヒト試験で明らかにした。

生活習慣病の中でも糖尿病患者は増加傾向が続き、2019年には厚生労働省が「糖尿病が強く疑われる者は男性で約5人に1人（19.7％）」（令和元年 国民健康・栄養調査）と発表し、ますます食生活改善による予防が重要視されている。これを受け、大人のダイエット研究所では、近年その嗜好性に加え、機能性から高血圧や心筋梗塞などを予防する可能性も示唆されている高カカオチョコレートに注目し、糖尿病予備軍の軽減に貢献できないかを検討した。各種の先行研究により、食物繊維やポリフェノールを多く含む高カカオチョコレートを食前に摂取することで消化吸収を緩やかにし食後血糖値の上昇を抑えることが想定できていたため、今回初めて、糖質食品摂取の「後」に高カカオチョコレートを摂取した場合の変化を検証することにした。

食物繊維は、腸内環境の改善、食後血糖値上昇抑制効果、コレステロール等の脂質を排出する効果、抗糖化作用などがあることが知られている。また、近年、糖尿病薬としても注目され、腸内で分泌されるGLP－1の分泌を高めたり、腸内で発酵したりすることで腸内細菌によって産生された短鎖脂肪酸の働きで、食欲抑制、免疫、血糖上昇抑制、アレルギー対策など、様々な効果が注目されている。

一方、働き世代（20～50代）は野菜摂取量が特に少ない傾向が深刻で、食物繊維量も不足しているのが現状だという。また、健康な食習慣の妨げとなる点については「仕事（家事・育児等）が忙しくて時間がないこと」と回答した人の割合が27.5％、「面倒くさいこと」と回答した人の割合は25.3％であり、手軽にプラスすることのできる食品や食べ方の提案が必要な現状が浮き彫りとなっている（令和元年「国民健康・栄養調査」）。

糖尿病は、日々の食生活等の生活習慣によって悪化しやすく、長年の食生活の積み重ねによって40～50代以降に一気に増加する傾向にある。近年課題となっている、増え続ける透析（糖尿病性腎症）の増加の一因ともなる糖尿病や食後高血糖の上昇を抑制・予防することは、社会的意義にもつながる。そこで、同研究所では、忙しい大人が選びがちの単品食べの代表でもあるラーメンを、手軽に実践できる栄養改善方法として、「普段の生活を変えずに手軽に美味しく続けられる高カカオチョコレートの摂取がどう影響するか」を検証する試験を行った。

今回の試験では、市販されている高カカオチョコレートのうち、平均的な86％の高カカオチョコレートを使用。高カカオチョコレートは、3個を摂るだけで日本人が不足している食物繊維量（20～50代平均：2.6g）程度を摂取することができる（市販の高カカオチョコレート1個（5.0g）あたり：0.8g）ほか、カカオポリフェノールが高血圧や心筋梗塞などを予防する可能性も示唆されており、また外出先でも手軽に摂れるため、日常生活に取り入れやすいという利点があるとのこと。

食物繊維の食べる順番による血糖値上昇抑制効果は先行研究でも明らかとなっているが、今回、高カカオチョコレート（86％）を食後に食べるだけで血糖値上昇抑制効果があることが、初めて明らかとなった。

医学博士の池谷敏郎氏（池谷医院院長）は、「高カカオチョコレート摂取群では、インスリン分泌量が増えて血糖値が下がっているので、カカオポリフェノールと食物繊維が小腸からのGLP－1分泌を促し、GLP－1が、膵臓からのインスリン分泌を促進するとともに、筋細胞への糖の取り組みを増やした可能性があると推測できる。高カカオチョコレートは手軽で、食後のデザートに甘みが欲しい時にも活用できることが今回実証された。今回『食後』でもこのような結果が得られたことによって、1日を通じて積極的に摂取しておくとよい食材といえる」とコメントしている。

食後血糖値の急激な上昇は、肥満、糖尿病など生活習慣病のリスクが高まるほか、その後血糖値が急激に低下するため、眠気や集中力低下の一因にもなる。また、食後高血糖による「かくれ高血糖」が体内の炎症や血管疾患リスク、認知症リスクの一因であることも研究されている。同研究所では今後も、働き世代の糖尿病予防に寄与する食提案を推進していく考え。

［試験方法］
健康な20～50代男性18名に、下記ABの2パターンの食事を規定の時間で食べてもらい、食後の血糖値を経時的に測定し、血糖値（平均値）の時間経過による変化を調べた。
A：カップラーメン（1個）を摂取
B：カップラーメン（1個）を摂取したのち、高カカオチョコレート（3個）を摂取
※市販のカップラーメン、高カカオチョコレート（86％）を使用。カップラーメン摂取15分後に高カカオチョコレート（3個）を摂取
※SOUKEN社に依頼し、倫理委員会申請・承認後、試験を実施

大人のダイエット研究所＝http://otona-diet.jp/