K-BALLET COMPANYとBunkamuraによる“K-BALLET Opto”第2弾「プラスチック」の製作発表、新作ドラマチック・バレエ2作品を上演

 K-BALLET COMPANY芸術監督の熊川哲也氏が仕掛けるBunkamuraとの新たな取り組みである“K-BALLET Opto”の第2弾「プラスチック」の製作発表会が、11月24日に東京・セルリアンタワー能楽堂で行われた。第2弾の1月公演では、“プラスチックを供養する”をテーマにした新作ドラマチック・バレエ「ペットボトル迷宮」と「ビニール傘小町」の2作品を上演する。製作発表会では、出演ダンサーによる新作のデモンストレーションが披露された他、「プラスチック」の企画概要および各作品の内容や演出のポイントなどについて紹介した。

 K-BALLET COMPANYとBunkamuraによる新プロジェクト“K-BALLET Opto”の第2弾公演となる「プラスチック」では、世界でも喫緊の解決課題とされる「プラスチック汚染問題」に目を向け、“プラスチックを供養する”をテーマに廃材となったペットボトルやビニール傘を舞台美術や衣裳に再生し、新作ドラマチック・バレエ「ペットボトル迷宮」と「ビニール傘小町」を上演。舞台芸術だからこそできるSDGsへのアプローチを再考する。また、今回の公演では世界が認めた技術と類まれな美貌の持ち主ジュリアン・マッケイ氏(ミュンヘン・バレエ、プリンシパル)が再来日を果たし、「ペットボトル迷宮」に出演する。

 製作発表会では、まず「ペットボトル迷宮」と「ビニール傘小町」の出演ダンサーによるデモンストレーションが披露された後、「プラスチック」の企画・構成・台本を手掛ける高野泰寿氏と、「ビニール傘小町」の演出・振付を担当する渡辺レイ氏、「ペットボトル迷宮」の演出・振付を担当するアレッシオ・シルヴェストリン氏が登壇し、今回の企画および作品への想いを語った。

 「K-BALLET COMPANYでは、創業から25年を通じて、芸術がいかに社会とつながれるかを追い求めてきた。その中で、現代社会が抱える課題や今だからこそ描ける問題とは何かを考え、表現するべく、Bunkamuraと立ち上げた新プロジェクトが“K-BALLET Opto”となる。今回の第2弾公演では、特に身近な環境問題として『プラスチック汚染問題』に着目し、この問題にどうやって芸術が関与できるかを検討した。そして、“プラスチックを供養する”をテーマに、ペットボトルとビニール傘をピックアップした新作バレエを企画するに至った」と、高野氏が「プラスチック」公演の企画コンセプトを説明。「各作品の注目ポイントとしては、『ペットボトル迷宮』では、舞台セットに1万本のペットボトルを使うのだが、表参道に設置されたゴミ箱『SmaGo』とタイアップし、リサイクルしたものを使用している。また、『ビニール傘小町』では、商業施設などに捨てられたビニール傘を回収して、舞台セットで活用する」と、使い捨てられたペットボトルやビニール傘を再生利用するという。「さらに、現代美術家の森村泰昌氏とほぼ日刊イトイ新聞が手掛ける『アート始末』ともコラボし、美術展で使用済みのカーテンを今回の舞台で利用する」と、舞台芸術ならではのSDGsへのアプローチにも注目してほしいと訴えた。

 「ビニール傘小町」の演出・振付を担当する渡辺氏は、「『ビニール傘小町』は、三島由紀夫の近代能楽集『卒塔婆小町』と太田省吾『小町風伝』を原案とした作品で、“ダンスは『ミシマ』を超えられるか?”をテーマとしている。依頼を受けた当初は、三島由紀夫を超えるのは不可能だと感じたが、能楽や暗黒舞踏からインスピレーションを得て、三島由紀夫の言葉以上のものをダンスで表現できると思い、演出を手掛けた。現在は順調にリハーサルが進んでいる」と、三島作品をダンスで表現することに挑戦した意欲作であると力を込める。「作品に登場する老婆は、かつては若く美しかった小野小町。何も生み出せずただ消費するだけの人生を送り、老いさらばえたその姿は、安手で消耗品的なビニール傘のプラスチックの姿と重なる。この作品通じて、自分自身、新たな表現の原点に戻る気持ちで演出を心がけた」と、演出のポイントについて教えてくれた。

 「ペットボトル迷宮」の演出・振付を担当するシルヴェストリン氏は、「作品作りにあたっては、環境問題を考えるより先に、ペットボトルという素材を芸術作品としてとらえることを試みた。そして、ペットボトルを分解し、アボリジニの原住民のような感覚でペットボトルの表現に向き合った。また、我々が現在置かれている環境やクリエイティブのプロセス、リサイクルのプロセスを『迷宮』という言葉に反映させた」と、作品に対するアプローチを語る。「ダンスの演出では、ダンサーが円を描くように動いていく。そこにプラスチックの壁があり、現れたと思ったら消えていく。同じ振り付けを繰り返すが、角度によって見方が変わるので、空間の中に吸い込まれるような表現になっている。音楽については、ペットボトルを逆さまにしたときにできる空間から音が出てくるイメージを表現するために、オルガンの作品を取り入れた。ぜひ、会場に足を運んで、自由な創造性と解釈で私の作品を楽しんでほしい」と、「ペットボトル迷宮」の世界観を劇場で体感してほしいと述べていた。

 最後に、「ペットボトル迷宮」に出演するゲストダンサーのジュリアン・マッケイ氏が登場。「この製作発表の場に立つことができて、うれしく思っている。そして、多くの才能のある人たちと共演できることを幸せに感じている。今回の作品は、まったく新しいプロジェクトであり、ユニークなプロジェクトでもあるので、公演をとても楽しみにしている」と、抱負を語ってくれた。

[K-BALLET Opto「プラスチック」公演概要]
日時:
 2023年1月8日(日)12:30開演/16:30開演
 2023年1月9日(月・祝)12:30開演
会場:KAAT神奈川芸術劇場(ホール)
チケット:S 9000円/A 7500円/B 3000円(すべて税込)
チケット取扱:Bunkamuraチケットセンター
オンラインチケット:MY Bunkamura他各プレイガイド
主催:Bunkamura/K-BALLET
特別協賛:PwC Japanグループ
提携:KAAT神奈川芸術劇場

K-BALLET COMPANY=https://www.k-ballet.co.jp/
Bunkamura=https://www.bunkamura.co.jp/
K-BALLET Opto「プラスチック」公式ページ=https://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/23_opto_plastic/


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