矢野経済研究所、自動車アフターマーケット市場に関する調査、2023年の市場規模は20兆9792億円に

矢野経済研究所は、2023年の自動車アフターマーケット市場を調査し、セグメント別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。その結果、2023年の自動車アフターマーケット市場規模は20兆9792億円に達した。新車供給体制は回復へ向かい、市場の活性化に向けて一歩前へ前進した。

2023年の自動車アフターマーケット市場規模は、前年比104.5%の20兆9,792億円と推計した。

自動車アフターマーケットの起点となる国内新車販売は、2022年末頃からサプライチェーンの混乱が解消に向かい、新車需要自体も旺盛であったことによって、2023年は登録車・軽自動車ともに新車供給が回復基調を辿り、国内新車販売台数(データ出所:日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会)は4年ぶりに増加となった。国内新車販売台数が増加したことに加え、経済や社会活動が回復したことで、自動車アフターマーケット全体の活性化に繋がった。

2023年の四輪車保有台数は7897.9万台(データ出所:国土交通省)で、3年ぶりに増加に転じる結果となった。新車供給体制が回復し、経済や社会活動が復調した結果、個人による自動車需要が増加し、法人は減車していた保有車両を再び増加させる企業が見られた結果、プラスに転じたと考える。

新車販売台数や四輪車保有台数の回復に伴い、今後自動車アフターマーケットは増加傾向が続くことが期待される。一方で、2024年は認証不正問題によって複数の車種で生産・出荷停止の状況であることから、先行きは不透明であるとみる。

2023年は経済や社会活動が復調し、人流が回復したことから、概して自動車の利用頻度は増加した。また、新型コロナウイルス蔓延の影響で、世界的な半導体などの部品サプライチェーンの混乱が2022年秋以降解消に向かったため、新車生産・販売も回復し、下取車(新規中古車)の増加に繋がった。これによって中古車価格は下落し、消費者が購入しやすい環境へと向かった。この結果、2023年の中古車小売市場規模は4兆2342億円と前年比増と推計した。

プラスの面があった反面、2023年は中古車業界のイメージ悪化を引き起こす事象も発生した。また、中古車小売事業者に対し、支払総額表示が義務化されたことで、消費者にとっては中古車販売価格の透明性が確保された。中古車小売事業者にとって、今後の顧客獲得においては販売価格以外に差別化が必要になることから、如何に購入商品・サービスの選択肢が多様で魅力的かという点が今まで以上に重要性が増すものと考える。

2023年は新車供給体制が回復した結果、自動車保有台数が増加し、自動車アフターマーケットの母数は増加に転じた。

自動車アフターマーケットを構成する多くの市場では、本業の収益だけでは事業継続が難しくなってきている事業領域もあり、付帯サービス市場などでは参入企業は生き残りに向けて事業の多角化を図る動きが加速しつつある。また、自動車定額制サービスなど新規参入事業者の勢力が増している分野もみられ、既存の事業者との間で競争が熾烈化してきている。さらに、「所有から利用へ」という消費者意識の変化やリモートワークの定着など自動車を取り巻く環境は今後も変化していくことも考えられる。自動車アフターマーケットを構成する様々な事業領域において、新規顧客の獲得はもとより、既存顧客をつなぎとめ、如何に既存顧客のリピート需要を獲得するかが今まで以上に重要になると考える。

[調査要綱]
調査期間:4月~7月
調査対象:自動車アフターマーケット関連事業を展開する企業・団体、および管轄官庁等
調査方法:同社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・メール等によるヒアリング、ならびに文献調査併用
[小売価格]19万8000円(税込)

矢野経済研究所=https://www.yano.co.jp


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