- Hobby&Culture2023/02/01 21:26
矢野経済研究所、国内におけるガーデニング・家庭菜園市場の調査、2021年度の市場規模は前年度比101.3%の2396億円に
矢野経済研究所は、国内におけるガーデニング・家庭菜園市場を調査し、市場規模、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。その結果、SNSを利用した情報発信やファミリー層を飽きさせない滞在型の売場作り、カフェやDIY売場との融合など、植物へのタッチポイントが増加し、2021年度のガーデニング・家庭菜園市場規模は前年度比101.3%の2396億円に達した。
2020年度のガーデニング・家庭菜園の市場規模(生産者・メーカー出荷金額ベース)は、コロナ禍の特需の影響から前年度比104.0%の2365億円と大きく伸長し、2021年度も同101.3%の2396億円と成長を継続している。2022年度の同市場は、前年度比100.4%の2406億円と微増での推移を予測する。
ガーデニング・家庭菜園は成熟した市場と捉えられており、従来はコアユーザーである団塊の世代や60代のシニア層が主力顧客となり市場を支えてきた。しかし、近年、高齢化の進展とともに主力顧客層が減少傾向にあり、今後の市場拡大には30代~40代の若年層など新規顧客の開拓が喫緊の課題とされている。
2020年初頭から新型コロナウイルスが感染拡大する中で、旅行などの外出が制限されたことや郊外型で大型駐車場を持つホームセンター業態が3密を避けられる買い物空間として支持されたことから、ガーデニング・家庭菜園市場は若年層の新規顧客が拡大した。
新規顧客を定着させるために、苗の生産者・メーカーや資材メーカー、小売店等では、SNSを利用した情報発信やファミリー層を飽きさせない滞在型の売場作り、カフェやDIY売場などとの売場を融合し、タッチポイント(顧客接点)の増加により植物に触れる機会を創出するなど、趣味の継続を図る取り組みが行われている。
植物やガーデニング・園芸資材は、従来、ホームセンターやガーデンセンター、園芸店などで販売が行われてきた。しかし、コロナ禍を経て植物への注目が高まったことを受け、タッチポイントを拡大し植物に触れる機会を創出する取り組みが始まっている。
アパレル業界では、「衣・食・住」の「衣」を中心に事業を展開してきた。しかし、コロナ禍の影響で生活様式が変化したことに加え、消費者の健康志向の高まり、アパレル市場の縮小を踏まえ、衣食住の「食」と「住」に進出した企業も出てきた。
アパレルブランドがグリーンビジネスの店舗を複合商業施設などへ出店し、アパレルならではの接客力と商品の見せ方で、ユーザーに似合うグリーンや植物と鉢のトータルコーディネートを提案したり、店舗によっては切花やブーケ、花苗などを幅広く取り扱っている。
また、店頭での販売に加え、エクステリアや植栽などのガーデニング事業、オフィスや施設などの緑化をサポートするレンタル事業などを幅広く展開する例もあり、今後の市場の活性化に寄与すると考える。
ガーデニング・家庭菜園市場では、コロナ禍で若年層の流入が起こったことからも、植物の潜在的な需要は存在すると考える。
苗の生産者・メーカーでは、手軽さ・省時間訴求の商品は競合が増加しているため、強健さや対候性に優れた花卉苗や野菜苗など、付加価値の高い提案を行い、新規顧客の獲得に向けた商品化が行われている。加えて、新しいキャッチコピーや使い方を提案し、定番商品の需要掘り起こしに繋げている。
また、資材メーカーでは、プランター菜園など、省スペースで栽培可能な商品の提案や、インテリア性を備えた栽培キットの展開などが行われている。特に、庭のない都市部のユーザーへ、屋内園芸を入り口とした新規顧客の獲得に加え、コロナ禍での新規流入層の趣味継続への取り組みが展開されている。
さらに、2027年には横浜国際園芸博覧会が開催予定であり、市場の盛り上がりが期待されている。
このような新規顧客の獲得に向けた取組みや、他業界との協業が進むことなどがプラス要因となり、市場は微増傾向で推移し、2027年度のガーデニング・家庭菜園の市場規模は2486億円(2021年度比103.8%)になると予測する。
[調査要綱]
調査期間:2022年8月~12月
調査対象:植物取り扱い企業(種苗メーカー、花卉卸売市場、流通業、ホームセンター、ガーデンセンター、フラワーショップ、貸し農園、造園緑化業、等)、ガーデニング資材取り扱い企業(資材メーカー、園芸資材小売店、等)、官公庁、業界団体、等
調査方法:同社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mail等によるヒアリング調査、ならびに文献調査併用
[小売価格]16万5000円(税込)
矢野経済研究所=https://www.yano.co.jp/