- Home&Living2023/07/31 19:34
三井ホーム、木造SDGsプロジェクト「MOCX GREEN PROJECT」をスタート、木造建築の可能性を広げ脱炭素に貢献
三井ホームは、木造建築による炭素固定を通じた社会貢献を可視化する活動をはじめ、これまでも積極推進していた使用木材の国産化、中大規模建築物の木造化をさらに進めていく、木造SDGsプロジェクト「MOCX GREEN PROJECT(モクスグリーンプロジェクト)」を7月28日からスタートした。
同プロジェクトでは、今年4月以降の新たな木造建築による累計炭素固定量を、出荷ベースで木材使用量に基づいた、より正確な炭素固定量を算出し、特設ウェブサイトで随時発信していく。今後は顧客単位(各棟)での炭素固定量を算出・提示していくことも視野に入れ、脱炭素化がより一層「自分ゴト化」されていく社会を目指す。
また今回のプロジェクト発足を機に、3月末時点での同社が創業以来これまで手掛けた木造建築において炭素固定量が推定「約383万t(383万1457t)」に達したことを発表した。これは東京ドームの延べ面積約2162個分(スギの木の758万本分)の森林が固定する炭素量に相当する(日本の滅失住宅の平均築後年数38.2年から、1985年3月31日以前に引渡しの物件はすべて滅失しているものと仮定して計算に含めず、1985年4月1日以降に引渡しの物件はすべて現存しているものと仮定して試算)。三井ホームでは、鉄骨造や鉄筋コンクリート造が主流であった中大規模建築物まで木造に変えていくことで、木造建築の可能性を広げ、脱炭素に貢献していく。
木造建築は、森林と同じように炭素を建物内に長期固定することが可能とされている。例えば三井ホームが建築した木造マンション「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」(総面積3738.30m2)では、スギの木約3000本分の炭素を固定している。居住地域において木造建築を増やす取り組みは、まるで森林であるかのように、大気中の炭素が街に固定されるといえる。このことから、脱炭素社会に向けて企業においてもさまざまな取り組みが求められる中で、三井ホームは本業である木造の建築を通じて、これまで以上に社会に貢献していくべきだと考え、今回の「モクスグリーンプロジェクト」をスタートすることとした。
「モクスグリーンプロジェクト」の主な取り組みとしては、(1)木造建築による炭素固定量を可視化する取り組み、(2)国産材利用推進によるサプライチェーン全体での社会貢献の取り組み、(3)木造技術革新によって中大規模建築物の木造化を推進する取り組み--の3つを挙げている。
木造建築による炭素固定量可視化する取り組みでは、林野庁の「建築物に利用した木材に係る炭素貯蔵量の表示に関するガイドライン」に基づき、三井ホームがこれまで手掛けた木造建築における炭素固定量を推定した。今後は、出荷ベースでの木材使用量に基づいて、より正確な炭素固定量を算出し、随時報告し続けていく。
国産材利用推進によるサプライチェーン全体での社会貢献の取り組みでは、今後国産材の積極活用を推進していくために、昨年、北海道との建築物木材利用促進協定を締結し国産化を加速化したことをはじめ、その他エリアもバランスよく全国各地からの木材調達を行っていく。国産木材の利用促進は、2050年脱炭素社会の実現に寄与するとともに、林業の成長産業化および地方創生へ貢献する。
木造技術革新によって中大規模建築物の木造化を推進する取り組みでは、同社が手がける脱炭素社会に向けたサステナブル木造マンション「MOCXION(モクシオン)」など、磨いてきた木造技術を活かして、中大規模建築物を中心に木造化を推進することで、大幅なCO2削減に貢献していく。
木造建築のメリットとしては、「木」は生長過程でCO2を吸収し、伐採後も炭素を固定化し続けるため、木造建築は長期間炭素を大気に戻さないことに加え、伐採地に植林されることでCO2吸収力は回復され、地球温暖化防止につながるという。
また、木は、適切な森林管理によって持続的に再生産が可能な資源となる。植林・伐採・木材生産・建築・解体・焼却・再利用のサイクルを通じてこれからの時代に求められるサステナビリティ(持続性)の実現を目指す。
木造建築は、鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨造の建築に比べて、資材の製造時や加工時に必要なエネルギーが少なく、建設時のCO2排出量の大幅な削減を可能にする。さらに、木は、鉄やコンクリートに比べて熱伝導率が低く、断熱性が高い素材となっている。外気の侵入を防ぎ、快適な室内の温度を逃さないことは、健康的で快適な暮らしに不可欠な性能となる。
三井ホームはこれまで、さまざまな国産材利用促進、中大規模建築物の木造化に取り組んできた実績がある。今回の「モクスグリーンプロジェクト」を推進することで、これまでの脱炭素に貢献する取り組みをより一層加速していく。
国産材利用促進の実績としては、昨年11月、同社が設立発起人の一社となり、「ツーバイフォー建築における国産木材活用協議会」を設立した。ツーバイフォー建築において、国産木材の利用の推進を図ることによって、林業における川上から川下までの異業種メンバーの連携による持続可能なサプライチェーンを構築し、林業の成長産業化および地方創生へ貢献することを目的としている。
2021年10月に、木材利用促進に関する法改正によって、「建築物木材利用促進協定」制度が創設された。これにいち早く対応し、三井不動産、三井不動産レジデンシャルと同社は、昨年10月31日、北海道等と建築物木材利用促進協定を締結した。同社グループは今後建設予定の建築物において、北海道産木材の利用に努め、林業とその関連産業の活性化による地方創生の実現に貢献している。
中大規模建築物の木造化推進の実績では、施設系建築において、「花畑あすか苑(東京都足立区)」を2016年5月に竣工、「新田楽生苑(東京都足立区)」を昨年8月に竣工している。「花畑あすか苑」は、ツーバイフォー工法(枠組壁工法)では延床面積で国内最大となる5階建て(1階RC造)特別養護老人ホーム。この建物は、ツーバイフォー工法の建築物として国内最大であるだけでなく、特に4層以上の中層木造建築物の地震時の横揺れに有効な新技術としてカナダで開発された面材耐力壁ミッドプライウォールシステムを採用した国内初の建物でもあるとのこと。
「新田楽生苑」は、「木」と枠組み壁工法の構造特性を活かし、利用者やスタッフにやさしく地域交流にも寄与する施設となっている。
木造マンション「MOCXION」においては、「MOCXION INAGI モクシオン稲城」を2021年11月に竣工、「MOCXION 四谷三丁目」を今年3月に竣工、「パークアクシス北千束 MOCXION」を8月に竣工する予定。
「MOCXION」は、循環型資源である「木」を主要構造材に用い、高断熱・高強度・高耐久な性能を備えたサステナブルな木造マンションとのこと。BELS 評価の「ZEH-M Oriented」以上を取得するなど、大手不動産情報サイトが定める木造マンションの登録要件を超える同社の独自基準を満たすことで、入居者に安全・安心で快適な居住環境を提供するとともに、脱炭素社会の実現にも貢献する。
このほか、地域産材の活用も進めている。例えば秋田県は、広大なスギ人工林を有しているが、この豊富なスギ材が使われずにいる。同社では、その資源を活用する木造畜舎を開発したという。スギ材は剛性が低く、たわみやすいという特性があるが、トラス構造にすることによって、たわみを抑えることができるとのこと。大断面材を使わず細い材で大スパンを実現している。また、熊本県では、阿蘇くまもと空港 旅客ターミナルビルの屋根架構に熊本県産材トラスとダブルシールドパネルを採用している。
三井ホーム=https://www.mitsuihome.co.jp/
MOCX GREEN PROJECT=https://www.mitsuihome.co.jp/company/mocx_green_project/