- Home&Living2024/11/06 16:35
2030年実用化へ! 無重力でも使える「宇宙シャワー」の開発をシャワーヘッド“ミラブル”のサイエンスが発表
2030年、無重力の宇宙でも地球と同じように快適にシャワーを浴びることができる日が来るかもしれない。サイエンスが10月31日、都内で「ミラブルテクノロジーによる、医療・宇宙分野の記者発表会」を開催し、「宇宙シャワー」の開発を発表した。2030年の実用化を目指すという。
サイエンスは、超微細な気泡「ファインバブル」技術を使ったシャワーヘッド「ミラブル」シリーズで知られ、累計150万本以上の販売実績を持つ。半分にメイクした顔にミラブルを用いたシャワーを当てると、その部分だけがメイクオフされる様子を映し出したCMは広く知られている。ミラブルの高い洗浄力を視覚的に強調し、超微細なウルトラファインバブルが肌の奥の汚れやメイクを簡単に落とす効果をアピールしていた。この技術を宇宙環境に適応させることで、宇宙での入浴問題の解決を図る。
サイエンス 代表取締役会長の青山恭明氏は、「宇宙飛行士が体をきれいにする方法は拭くしかない。宇宙時代が到来する中で、人間が宇宙空間で快適に生活できなければ意味がない」と開発の動機を語った。「これからは宇宙シャワーや!」と社内へ大号令をかけた際には頭を抱えた開発者もいたそうだが、微小重力下での実証実験の成功を経て、有用性に自信がついたという。青山氏は、有人宇宙システム(以下、JAMSS)と共同で、将来の宇宙滞在者のQOL(Quality of Life=生活の質)向上を目指すことを宣言した。
同社 専務取締役で開発責任者の平江真輝氏は、「宇宙旅行がもうすぐ実現するというきっかけから、宇宙ステーションのホテルなどでは、やはりシャワーが必要だと考えた」と開発の経緯を説明した。「ファインバブルのテクノロジーがあるので、循環さえできれば、洗浄薬剤を使わず水だけで体をきれいにできるのではないか」という発想から実証実験に着手したという。
実験では成層圏まで飛ばしたバルーンに実験機を搭載し、落下させた瞬間の微小重力状態でポンプの作動状況や水の噴霧・循環状況を確認した。平江氏は、「地球上でできている水回りの生活を宇宙でも快適にすることができれば、宇宙時代にも対応できる。また、そこで得たノウハウを地上での生活にも還元できれば」と今後の展望を語った。
同社と共同研究を始めたJAMSS 取締役の竹下博氏は、「1990年以来、国際宇宙ステーション(ISS)日本実験棟『きぼう』の開発、運営に携わっている」と説明する。ISSは2030年頃をめどに運用が終了予定だが、以降も地球低軌道での活動は継続され、民間主体の商業宇宙ステーションの活発化などで、人類の活動領域や経済圏が地球低軌道に拡大していくことは確実だという。
竹下氏は、「商業宇宙ステーションでは、いかに快適に滞在できるかという技術が必要になってくる。ISSを通じて得られた安全な開発や利用者支援、健康管理の技術などをベースに、QOL向上のサービスをビジネス展開させていきたい」と共同研究の意図を説明した。今後は宇宙シャワーの安全性確保、機能性向上、衛生面の改善、水資源の効率的利用について開発を進め、「2030年頃には実用化を目指したい」としている。
ゲストとして登壇した元JAXA宇宙飛行士の山崎直子氏は、自身の宇宙滞在経験を語った。「シャワーやお風呂などはなく、代わりにドライシャンプーで頭を洗ったり、濡らしたタオルで体を拭いたりしていた。飛行機の中と同じように温度を一定に保つため、常にエアコンが作動している状態。そのため湿度が10%から20%と非常に低く、皮膚は乾燥を補おうと余計に皮脂を分泌し、乾きつつも脂ぎってくる状態になる」と滞在時の苦労を明かした。
また、密閉空間であるISS内部は宇宙飛行士たちの体臭や食べ物などのこもった匂いもするという。山崎氏は、「鼻が麻痺してだんだん感じなくなったが、初めてISSに足を踏み入れた時は、閉め切った部室のような匂いがした」と振り返る。今後は民間宇宙ステーションや宇宙ホテルの内部に入った瞬間の「第一印象が大切になるのではないか」と指摘。宇宙シャワーをはじめとする滞在者の快適さを保つ開発の重要性を強調し、宇宙空間でのQOL向上への期待感を示した。
サイエンス=https://i-feel-science.com/
有人宇宙システム=https://www.jamss.co.jp/
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