- Home&Living2024/12/27 20:05
アットホーム、繁忙期直前の賃貸市場動向について解説、初めての一人暮らしで「失敗しない」住まい探しのポイントも紹介
不動産情報サービスのアットホームは、繁忙期直前の賃貸市場に関する概況・トピックおよび住まい探しのヒントについて説明するプレスセミナーを11月27日に開催した。今回のセミナーでは、アットホームラボ 執行役員 データマーケティング部 部長の磐前淳子氏が、不動産業界の景況感レポートと賃貸マンション・アパートの募集家賃動向調査から、最新の賃貸市況について解説した。また、アットホーム広報の西嶋優理子氏が、家賃高騰状態の中で初めて一人暮らしをする生活者向けに「失敗しない住まい探しのポイント」を伝授してくれた。
アットホームでは、地域に根差して不動産仲介業に携わる同社加盟店を対象に、全国13都道府県14エリアの居住用不動産流通市場の景気動向について、四半期ごとにアンケート調査を実施し、「地場の不動産仲介業における景況感調査」として公表している。同調査は、2014年1~3月期に開始し、今年7~9月期に実施した最新調査で第43回となる。また、同調査では、前年並みを50とする業況をDI(前年同期比)で指数化している。
最新の景況感調査について、アットホームラボの磐前氏が解説。「賃貸仲介における7~9月期の業況DIは、首都圏・近畿圏ともに2期連続で下落した。首都圏の業況DIは48.5と3期ぶりに50を下回ったが、前年同期比はプラスを維持している。一方、近畿圏の業況DIは41.1まで下落し、前年同期比でも1.4ポイントのマイナスとなった。来期(10月~12月期)の見通しについては、首都圏・近畿圏ともに上昇が見込まれている」と、首都圏・近畿圏の賃貸業況はややブレーキがかかっている状態だという。「エリア別の業況DIを見てみると、全14エリア中10エリアで前期比下落したが、前年同期比では10エリアでプラスとなっている。首都圏では、全5エリアで前期比下落したものの、前年同期比では千葉県・東京23区・東京都下でプラスとなった。特に、東京23区の業況DIは4期連続で50超と高調を維持している。近畿圏は、全3エリアで前期比下落し、大阪府・京都府では前年同期比もマイナスになるなど全体的に低調に推移した」と、東京23区と各エリアとの業況差が顕著になっていると説明した。
「その他6エリアでは、北海道・宮城県・静岡県・福岡県で前期比上昇し、前年同期比は全エリアでプラスとなった。中でも北海道は、業況DIが4期連続上昇し、今期は53.3と調査開始以来最高値を記録した。札幌市の不動産店からは、『千歳市・北広島市の法人からの入居希望者が増えた』との声が聞かれており、千歳市のラピダス新工場や北広島市のエスコンフィールド周辺の開発にともない賃貸需要が高まっている様子がうかがえる」と、東京23区を除く首都圏・近畿圏に対して、その他エリアは良好な傾向にあると指摘。「この要因を探るために、家賃および中古マンション価格と収入の関係を調査した。ファミリー向き賃貸マンション(50~70㎡)の平均家賃と平均世帯月収の関係性を見ると、首都圏・近畿圏の各エリアはほとんどが月収15%ラインを上回っている一方で、その他エリアは月収15%ライン上および下方に多く位置している。つまり、その他エリアは家賃上昇が続く中でも相対的に家賃負担率が低く抑えられており、それが業況DIにも表れていると考えられる」と、その他エリアの業況DIが好調な要因を分析した。
また、アットホームでは、不動産情報ネットワークで消費者向けに登録・公開された、居住用賃貸マンション・アパートの募集家賃動向について調査・分析し、今年10月の全国主要都市の「賃貸マンション・アパート」募集家賃動向を公表している。この結果について磐前氏は、「賃貸マンションの平均家賃は、東京都下・神奈川県・埼玉県・千葉県・札幌市・京都市・大阪市・福岡市の8エリアがすべての面積帯で前年同月を上回った。アパートの平均家賃も上昇傾向にあるが、マンションに比べて2~3割安い価格帯で推移している。エリア別では、東京23区の賃貸マンション家賃が別次元で上昇しており、シングル向き・カップル向き・ファミリー向きは2015年1月以降最高値を記録した。この理由としては、建物の建築や維持管理にかかる諸費用の高騰および、賃貸需要の増加が挙げられる」と解説。「賃貸マンションで注目されるのは、カップル向き(30~50m2)で、ゆとりのある単身社会人や貯蓄中のカップル・ファミリーからのニーズが集中している。中でも近年は1LDKの物件が増加しており、東京23区のカップル向きマンションに占める1LDK率は約5割に達している。また、家賃が高騰している東京23区だが、エリア別にみると、城北・城東11区は比較的手頃な価格となっている」と、賃貸マンションのトレンド情報についても教えてくれた。
続いて、アットホームの西嶋氏が、家賃高騰状態の中で、初めて住まいを探す生活者向けに「失敗しない住まい探しのポイント」を紹介した。「賃貸の住まい探しにおける繁忙期は1月から3月で、特に2月から3月から探し始める人が多い。その中で、初めて一人暮らしをする学生や社会人がつまずきやすいのが、『家賃の抑え方がわからない』『時間をかけても見つからない』『自分の生活をイメージできていない』という3つのポイントだ」と、初めての住まい探しにおける3つの「つまずきポイント」を指摘する。
「家賃の抑え方がわからないという人は、築年数と駅徒歩分数の妥協を視野に入れて探すことをおすすめする。同じ駅でも、築年数が古いほど、駅徒歩分数が遠いほど家賃が下がる傾向にある。当社の調査では、賃貸契約時の妥協ラインとして、築年数は『当初から10.2年古い物件』、駅徒歩分数は『当初から9.3分遠い物件』という結果が出ている」とのこと。「また、不動産ポータルサイトでの物件検索の方法をひと工夫してほしい。『インターネット接続料込み』や『管理費等を含む』、『駐車場料金を含む』、『クレジットカード決済可』といった条件で検索すると、総合的に支出を抑えるポイントになる」とアドバイスした。
「時間をかけても見つからないという問題の背景には、大学推薦入試の増加などによって、一人暮らしの住まい探しの時期が早まっていることが挙げられる。当社が実施した不動産会社へのアンケート調査では、進学による住まい探しを始める時期として、『推薦入試が終わる12月頃』『遠方の場合は受験のタイミング』『学生が多い地域は3ヵ月前、そうでなければ1ヵ月半から1ヵ月前』というコメントが寄せられた。そして、人気の物件は、早い時期にすぐに決まってしまう」と、すでに年内から一人暮らしの住まい探しが始まりつつあるという。「そこで、なるべく早めに住まい探しをスタートし、不動産ポータルサイトでたくさんの物件を見て、事前に内見する物件を絞り込んでおくとよい。サイトからの新着通知を受け取れるようにすることも大切。また、オンラインで内見をしたり、オンライン入居申込・クレジットカード決済の物件を選ぶのも時短につながる。さらに、不動産会社とのコミュニケーションをチャット等で行うことで、電話やメールに比べてより気軽にテンポよくやりとりできる」と、住まい探しにおけるタイパ術を紹介した。
「初めて一人暮らしをする人は、自分の生活をイメージするのが難しいと思うが、住まい探しの際には、その物件に住んだ後の自分をイメージしてほしい。例えば、『家にいる時間は長いのか。昼と夜どちらが多いのか』、『友だちを家に呼びたいのか』、『自炊をするのか』、『ネットショッピングをよく利用するのか』、『洗濯物はどこに干すのか』などを考えながら探すと、“なんとなく検索”による失敗を防ぐことができる」と、初めての住まい探しで失敗しないためにも、実際にその物件で暮らしている自分の姿をイメージすることが大切なのだと教えてくれた。
[地場の不動産仲介業における景況感調査(2024年7~9月期)概要]
調査期間:9月13日(金)~24日(火)
調査地域:北海道、宮城県、首都圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)、静岡県、愛知県、近畿圏(京都府、大阪府、兵庫県)、広島県、福岡県の13都道府県。分析上では東京都を東京23区と都下に分け、14エリアとしている
調査対象・調査方法:調査地域のアットホーム全国不動産情報ネットワーク加盟店のうち、都道府県知事免許を持ち5年を超えて仲介業に携わっている不動産店。主に経営者層を対象にしたインターネット調査
有効回答数:1800店
※同調査で用いているDIは、すべて前年同期に対する動向判断を指数化したもの
[全国主要都市の「賃貸マンション・アパート」募集家賃動向(2024年10月)概要 ]
対象地域:首都圏(東京23区、東京都下、神奈川県、埼玉県、千葉県)、北海道札幌市、宮城県仙台市、愛知県名古屋市、京都府京都市、大阪府大阪市、兵庫県神戸市、広島県広島市、福岡県福岡市の13エリア
対象データ:不動産情報サイト アットホームで登録・公開された居住用賃貸マンション・アパート(重複物件はユニーク化)
アットホーム=https://athome-inc.jp/
不動産情報サイト「アットホーム」=https://www.athome.co.jp/
アットホームラボ=https://www.athomelab.co.jp/
- #アットホーム
- #アットホームラボ
- #アパート
- #アンケート調査
- #セミナー
- #一人暮らし
- #不動産仲介業
- #不動産情報ネットワーク
- #不動産業界
- #募集家賃動向
- #失敗しない住まい探しのポイント
- #景況感
- #賃貸マンション
- #賃貸市場