JTB総研、「旅行に対する今の気持ち:国内旅行・海外旅行への意識調査、年内に海外旅行を計画している人は全体の8.7%

JTB総合研究所は、「旅行に対する今の気持ち:国内旅行・海外旅行への意識調査(2024年3月実施)」の調査結果をまとめた。その結果、女性30~50代の56~58%が「生活に余裕がない」と感じている。また、年内に国内旅行を計画している人は、全体の約半数で、旅行の最大の目的は「食事、地域の味覚を味わう(42.4%)」だった。延伸した北陸新幹線を利用した旅行をしてみたい」は全体の12.1%。年内に海外旅行を計画している人は全体の8.7%となり、コロナ禍に比べ、1人あたりの旅行回数も減少傾向であることがわかった。海外旅行へ行くきっかけになりそうなことは、「円高が進めば」、「休みが取れれば」だった。

昨年5月の新型コロナウイルス感染症に関する水際対策緩和以降、日本各地に多くの訪日外国人旅行者が訪れるようになり、インバウンド旅行に関しては、コロナ禍からの順調な回復がみられる。一方、日本政府観光局(JNTO)の推計によると、今年4月における日本発の海外旅行者数は、対2019年比▲46.7%で、コロナ禍前の水準に戻ったとはいえない。国内旅行に関しても、昨年まで実施されていた各種旅行支援制度が減ったことや、物価高などの影響、コロナ禍に旅行に行けなかったことに対するリベンジ旅行が一巡したことなどから一旦、落ち着いているようにも見える。実際のところ、日本の人々の旅行に対する今の気持ちはどうなのだろうか。Webアンケート調査から紐解く。

物価高が続く中、総務省が6月7日に発表した今年4月の家計調査では、勤労者世帯の実質実収入が19か月連続でマイナスとなった。今回の調査結果でも、「家計に余裕はない」が48.4%と最も高く、生活者の気分は全体的に節約モードのようだ。趣味や旅行などに関しても、「生活費も、趣味や旅行も節約している(28.1%)」が「普段の生活は切り詰めるが、趣味や旅行など自分の好きなことにはお金を惜しまない(17.3%)」を10ポイント以上も上回り、生活者の切実な状況がうかがえる結果となった。

国内旅行に関しては、全体の約半数である48.3%が年内の旅行を予定している。旅行の目的として最も大きかった項目は「食事、地域の味覚を味わう(42.4%)」だった。テレビのバラエティ番組などでも、各地の美味しいものを食べ歩く番組が人気だが、多くの旅行者にとって、旅行先の味覚を味わうことは旅の重要な要素といえる。

訪日旅行者の増加によって、ホテル価格の上昇や、観光地の混雑の影響などが懸念されているが、国内の旅行者にはどのように影響しているのだろうか。性年代別に旅行への影響度合いをみてみると、ホテル価格の上昇に関しては、ファミリー層が多いと考えられる女性30代で最も影響が大きくなった。観光地の混雑による影響に関しては、男女とも、60歳以上の熟年層への影響が大きいようだ。

今年3月に北陸新幹線の金沢~敦賀間が開業し、東京や大阪からの所要時間も30分から1時間程度短縮された。そこで、延伸した北陸新幹線を利用した旅行への意向を聞いてみたところ、「してみたい」という回答は、全体の12.1%だった。居住地域別にみると、北陸地域の「富山県」や「福井県」、関東の「埼玉県」、「神奈川県」、その他「長野県」、「山形県」などの利用意向が高くなった。どちらかというと東日本に居住する旅行者の意向が高く、西高東低ならぬ、東高西低の傾向があるようだ。

次に、海外旅行への意識についてみてみよう。年内に海外旅行を計画している人は全体の8.7%だった。年代別にみると、20代が15.5%と平均よりも高い割合を示している。

また、年間の平均旅行回数に関しては、コロナ禍前と比較し、全体では0.05回の減少(73%)だったが、20代に関しては、男女ともやや増加傾向にあった。最も回数が減少したのは男性の60歳以上だった。2001年のアメリカ同時多発テロ事件(9.11)や2002~2003年に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)などからの回復期にも、日本の熟年層は最も回復が遅い傾向がみられた。同様に遅い動きではあっても、徐々に回復に向かうことが期待される。

今後、海外旅行へ行くきっかけとなりそうなことについて聞いてみた。全体としては、「円高が進めば(32.2%)」、「休みが取れれば(27.7%)」が1位、2位となった。回復が遅い熟年層に関しては、「テロなど治安への不安がなければ」、「よいプランや宿泊施設が取れれば」などが比較的高くなっている。治安のよい旅行先や上質な滞在先などに焦点をあてることで、海外旅行への重い腰を上げてもらうきっかけとなるかもしれない。

20代に関しては、「一緒に海外旅行をしてくれる人がいれば」、「手続きに必要な情報が簡単に得られれば」、「手続きが簡単にできるサービスがあれば」など、同行者の存在や手続きの簡単さが後押しになる可能性がみられた。ひとり旅でも旅行先でガイドや現地の人とのマッチングができるサービスなどが始まっているが、このようなサービスが広がれば、より気軽に若者が旅行に出かけられるのではないだろうか。

また、旅行の手続きに関しても、「簡単さ」を求める傾向がみられる。過去に同社が実施した調査結果では、旅行の申し込みなどの手続きにかかる時間はパソコンに比べてスマホの方が長い傾向がみられた。スマホの利用が中心となる20代は、より面倒臭さを感じているのかもしれない。若い世代を海外旅行へと誘うためには、「簡単さ」もキーワードとなりそうだ。

[調査概要]
調査方法:インターネット調査会社が保有しているモニター対するwebアンケート調査
対象者:
 スクリーニング調査:日本国内に居住する20歳以上の男女(1万名)
 本調査:2024年に国内旅行を検討している人(1030名)
調査時期:3月22日~24日

JTB総合研究所=https://www.tourism.jp


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