- Leisure&Travel2025/02/06 11:30
矢野経済研究所、国内の「オタク」市場に関する調査、「オタク」の主要16分野のうち2023年度は14市場が成長を遂げる

矢野経済研究所は、国内の「オタク」市場を調査し、主要分野における各分野別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。ここでは、主要16分野の市場規模について、公表する。「オタク」の主要16分野のうち、2023年度は14市場が成長を遂げたことが明らかとなった。
2023年度の「オタク」市場主要16分野(市場)では、14市場(「アニメ」「同人誌」「インディーゲーム」「プラモデル」「フィギュア」「ドール」「鉄道模型(ジオラマ等周辺商材含む)」「サバイバルゲーム」「アイドル」「プロレス」「コスプレ衣装」「メイド・コンセプトカフェ、コスプレ関連サービス」「音声合成」「2.5次元ミュージカル」)が成長した。一方で「トイガン」「ボーイズラブ」の2市場は縮小という結果になった。
成長した14市場の中では、「同人誌」市場が前年度比37.9%増と最も高い成長率となった。本調査における同人誌市場は即売会売上、委託販売売上、データ販売売上の合算値で算出している市場であるが、即売会の参加者数(出展者や一般来場者)はコロナ禍以降回復が進み、委託販売も即売会で行われるケースが多いため、連動して売上を回復させている。データ販売は、同人誌印刷などの工数が掛からないことによって、安価に制作しやすくなったことからコロナ禍以降定着し利用を拡大させている。加えて、翻訳版(海外売上)の販売も好調で、同人誌市場拡大に貢献している。
2023年度の「2.5次元ミュージカル」市場はユーザー消費金額ベースで、前年度比4.2%増の500億円と推計した。
2.5次元ミュージカルとは、2次元コンテンツと称される漫画・アニメ・ゲーム等を原作とする3次元の舞台コンテンツのことであり、本調査における「2.5次元ミュージカル」市場とは公演の観覧チケット、およびこれに関連するグッズ(商品)などの物販から構成される。
2.5次元ミュージカルはミュージカル公演数および動員数の増加により、観覧チケット売上は好調である。2.5次元ミュージカルは原作マンガのストーリーラインを知っていれば日本語がわからなくても楽しめることから、インバウンド(訪日外国人客)に人気の観光となっており、ミュージカル観覧チケットに対するインバウンド需要も高まっている。
また、ミュージカル観覧チケットとともに、グッズ(関連商品)販売も市場規模を伸ばしている。現下、グッズ販売は有力な収益源となっており、会場内での販売品目数は一般の音楽コンサートや演劇、スポーツ観戦などよりも多い傾向が見られる。また、グッズ販売はライブ会場だけではなく、オンラインショップも販路として確立しており、記念品としての需要にも対応している。2023年度は若干落ち着きをみせているものの、グッズ需要は堅調である。
2024年度の「オタク」市場主要16分野(市場)は、12市場(「アニメ」「同人誌」「インディーゲーム」「プラモデル」「ドール」「鉄道模型(ジオラマ等周辺商材含む)」「サバイバルゲーム」「アイドル」「プロレス」「コスプレ衣装」「メイド・コンセプトカフェ、コスプレ関連サービス」「音声合成」)の成長を予測する。一方で、「フィギュア」「ボーイズラブ」「トイガン」は縮小を予測する。
成長を予測した12市場の中では、「音声合成」市場が前年度比21.3%増と最も高い成長率を予測する。同調査における音声合成市場とは、歌声音声合成、音声読み上げ、ボイスチェンジャーなどの音声合成に関するソフトウェア、またこれらのソフトウェアに設定されているキャラクターに関連するグッズ(商品)などの物販で構成される。
音声合成市場は、近年では「初音ミク」をはじめとする大手事業者が展開するバーチャルシンガーキャラクター以外にも人気歌声音声合成キャラクターが生まれているが、そうしたなかでも「初音ミク」が主要キャラクターであるとみる。
音声読み上げソフトでは、動画配信などのプラットフォームにおけるキャラクターのゲーム実況や短時間で関連情報などをわかりやすく伝える「実況系・解説系動画」の人気が高まっている。また、作曲などの特別なスキルがなくとも動画作成することができることからクリエイターも急増しているため、需要が拡大している。
加えて、大手事業者の展開するバーチャルシンガーキャラクターが出演する人気ゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」を原作とする劇場版アニメが今年1月に公開されたことなどから、今後はキャラクター関連グッズの売上拡大が期待される。
[調査要綱]
調査期間:2024年6月~9月
調査対象:「オタク」に関わるコンテンツや物販、サービス事業者および業界団体等
調査方法:同社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、インターネットアンケート調査、電話調査、ならびに文献調査併用
[小売価格]16万5000円(税込)
矢野経済研究所=https://www.yano.co.jp
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