- Leisure&Travel2025/03/25 23:25
「かわさきフェア」の春開催がスタート、富士見公園会場では「3つの動くみどり」を活用した可変みどり空間を創出

「第41回全国都市緑化かわさきフェア」(以下、かわさきフェア)の春開催が3月22日からスタートした。春開催期間中(3月22日~4月13日)、かわさきフェアのコア会場の一つとなる富士見公園会場において、川崎市および東京大学が連携し、住友林業とスズキの協力のもと、「3つの動くみどり」(モバイルグリーン(Mobile Green)、リモコングリーン(Remote Control Green)、ロボットグリーン(Robot Green))を活用した将来の環境共生「可変みどり空間」の創出等を実施する。3月21日に行われたプレス向け内覧会では、「3つの動くみどり」の概要について説明した他、富士見公園会場で実施するガーデン展示の見どころを紹介した。

かわさきフェアは、川崎市市制100周年の象徴的事業として、川崎の持つ歴史、資源、強み等を活かし、改めてみどりについて市民と一緒に考え行動することで、川崎の新たなみどりの文化を醸成し、誰もが住み続けたいまちへとつなげていくことを目的としており、秋開催に次ぐ春開催の全国初の2期開催となる。今回の春開催は、「花満開!春に、逢いに行こう。」をキャッチフレーズに、コア会場の一つである富士見公園会場では、黄・オレンジ色をベースとした昨年秋の倍となる約6万株の花が広がる広場など、春を楽しむガーデン展示を実施する。
中でも、富士見公園会場で注目されるのが「3つの動くみどり」の展示エリアだ。このエリアでは、動かせる緑「モバイルグリーン」を活用した空間創出(期間中全日)と、電動で動く「リモコングリーン」の遠隔操作体験、自動運転機能を搭載した「ロボットグリーン」の展示・実機パフォーマンス(期間中の水曜・日曜日)を実施。これら「3つの動くみどり」を活用することで、将来の環境共生「可変みどり空間」を提案していく。

「3つの動くみどり」の開発に携わった東京大学 総括プロジェクト機構 ARISE City研究拠点 特任教授の横張真氏は、「地球レベルでの気候変動対策やウェルビーイングの観点から、都市の中心部に緑を増やす『都市緑化』の重要性が高まっている。しかし、公共機関も民間企業も、都市部において新しい公園を作るための用地を確保するのは難しいのが現実。そこで、既存の駅前広場や空き地、駐車場など緑化できていない空間に緑を増やすことができないかと考え、住友林業とスズキの協力を得て『動かせる緑』の開発に取り組んだ」と、都市緑化を推進する新しい手法として、「3つの動くみどり」を開発したのだと説明する。「また今後は、病院や高齢者施設などで、外出ができない人にも緑を見せたいというニーズが高まってくると思われる。これに対して、自動運転機能を搭載したパーソナルモビリティの『ロボットグリーン』であれば、病棟や施設内を自動で巡り、緑を届けることが可能になる」と、屋外だけでなく屋内にも「可変みどり空間」を創出していく考えを示した。

それでは、富士見公園会場における「3つの動くみどり」の展示エリアについて見てみよう。まず、「モバイルグリーン」のエリアでは、会場内に約30台の「モバイルグリーン」と、テーブル・ベンチを配置。来場者が「モバイルグリーン」を自由に動かすことで、緑の効能などを感じてもらう。「モバイルグリーン」は、日本の伝統技術である「盆栽」に着想を得て、屋上緑化で使われる軽量・薄層の植栽基盤を用い、通常は重くて動かせない樹木にもかかわらず、手軽に動かしてどこでも木陰をつくることが可能となっている。構造は、貯水機能のある厚さ約15㎝の特殊なトレー(屋上緑化用植栽トレー:住友林業)の上に、薄層のマットまたは軽量土壌に定着させた樹木を載せており、キャスターをつけることで子どもでも容易に動かすことができる。

「リモコングリーン」のエリアでは、モバイルグリーンの足回りの部分として、スズキの協力のもと、電動モビリティベースユニットを合体させ「リモコングリーン」として初めて製作された実機を3台設置し、遠隔操作体験を実施する。広場に置かれたテーブルや椅子などに「リモコングリーン」を移動させ、「木陰を作る」ことによって、緑の効果を知ってもらうための走行コースを用意。ラジコンカーを操作する感覚で子どもたちも楽しむことができる。なお、「リモコングリーン」に使われているスズキの電動モビリティベースユニットは、同社が培ってきた電動車いすの技術を応用しており、不整地や泥道など農地のような路面状況で高い走破性を発揮し、100kg積載時の登降坂角度も約8度となっている。また、歩行領域を想定した防錆、防水、防塵の機能を確保しており、屋外利用が可能。自動車をけん引できるパワーも有しているという。

「ロボットグリーン」のエリアでは、スズキによる自動運転機能を搭載したパーソナルモビリティの技術を「モバイルグリーン」に組み合わせ、「ロボットグリーン」として初めて製作された実機の展示・実機パフォーマンスを、世界最先端の試みとして実施する。将来的には、光や温度等のセンサーや、判断機能等を「ロボットグリーン」に搭載することで、緑が気象条件等に応じて自動的に配置を変え、滞留する人に最適な気象環境を提供するようなことも可能になるという。従来、緑化が困難だった駅前広場や空き地、駐車場、地下通路などの空間に、自律・自走式の植栽ユニットを配置することで、自動で太陽光の遮蔽、防風、休息、修景など、人々が滞留する空間の必要な機能に対して、みどりの多面的な効果を十分に発揮することができる。また、緑化の省スペース化や管理の省略化にも寄与するとのこと。

ここからは、富士見公園会場で実施するガーデン展示の見どころを紹介しよう。メインガーデンでは、壁面緑化技術を使用した高さ3mのフラワーゲートが来場者を出迎え、川崎の多様な文化・産業が溶け込み、みどり豊かな環境先進都市へ歩んでいく様子を、広場全体に広がった黄・オレンジ色をベースとした約6万株の花で表現する。

また、メインガーデンの各所にガーデンドームを設置し、ノンアルコールカクテルを提供する「ガーデンラウンジ」や押し花作家の作品展示「杉野宣雄と世界の押し花展」、親子でワークショップが楽しめる「木もれび親子ガーデン」などを展開する。さらに、夜はライトアップを行うと共に、毎週末ナイトガーデンマーケットを実施し、ライトアップされた桜と食と音楽を楽しむことができる。

「庭あそび」エリアでは、庭師の子ども時代の原体験から、子どもたちの庭あそびを表現した。「岩と苔の塔」「変容する築山」「枝のトンネル」「フォトジェニックなリヤカー」などを設置し、園路を遊び場にする。

「壁面緑化」エリアでは、市立川崎高校の生徒たちが「多様性×みどり」を表現してデザインした垂直花壇を展示。「多様性×みどり」テーマに、様々な特徴を持つものを認め合い交わっていく様子を秋と春の2つのデザインで表現している。春開催のデザインタイトルは「つながって一つに」。かわさきフェアのテーマの「みどりで、つなげる、みんなが、つながる」ことを、様々な特徴を持つものがつながって1つになり、その先の未来に続くことを表現している。

「トラックガーデン」エリアでは、全国の若手庭師が川崎市の産業の発展や活性化に貢献したいという情熱を込め、富士見公園・等々力緑地・生田緑地の3会場を模した装飾に、水を注ぎ彩ったガーデンアートを展示している。

「バブルガーデン」エリアは、「かわさきそだち」のパンジー・ビオラが弾むガーデン。川崎市内で生産されるバンジー・ビオラは、高い品質が評価されているという。昨年12月上旬にボランティアと一緒に植え付け、冬を超えて大きく育った自慢のパンジー・ビオラが来場者を出迎える。

「農と自然のガーデン」エリアは、都会の真ん中で農と花をテーマに、みんなで楽しみ育てていくガーデン。コンテナ農地やレイズドベッドを活用した立体的・インクルーシブな農園を使って、農と生物のつながりやかわさき育ちの野菜の植え付け、収穫体験などを楽しめるガーデンとなっている。

「自治体出展花壇」では、花とみどりのガーデンをLove Letterに見立てて、全国自治体から来場者へメッセージを届ける。
[「第41回全国都市緑化かわさきフェア」開催概要]
愛称:Green For All KAWASAKI 2024
開催期間:3月22日(土)~4月13日(日)
開催時間:9:30~17:00
コア会場:富士見公園、等々力緑地、生田緑地
※期間中、夜間にライトアップ等を実施
第41回全国都市緑化かわさきフェア=https://green-for-all-kawasaki2024.jp/
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