SmartHR社がARR100億円突破と「T2D3」達成を発表! 今後の事業戦略に「マルチプロダクト戦略」掲げる

左から:SmartHR社の倉橋隆文取締役COO、同 芹澤雅人代表取締役CEO

クラウド人事労務ソフト「SmartHR(スマートHR)」を提供するSmartHR社が3月14日、事業戦略発表会を開催した。

2015年に提供を開始した「SmartHR」は、雇用契約や入社手続き、年末調整などの多様な労務手続きをペーパーレス化し業務効率化する機能や、「SmartHR」にたまった従業員データを活用した「人事評価」「従業員サーベイ」「配置シミュレーション」などのタレントマネジメント機能を展開している。労務管理機能に加えて、タレントマネジメント機能を搭載することで、従業員の入社から退社までのさまざまなシーンで、人事担当者や従業員の業務を効率化できるという。

SmartHR社の倉橋隆文取締役COO

SmartHR社の倉橋隆文取締役COOは、「『SmartHR』の労務管理市場でのシェアは圧倒的ナンバー1で、年々そのシェアは拡大している」と話す。また、日本の労務管理におけるクラウド浸透率は3.1%と推定され、未だに多くの日本企業が紙・手作業で労務管理を行っており、市場の成長余地は広大であるとの見方も示した。また「タレントマネジメント機能」は先行プレイヤーに迫る勢いで成長しており、特に「人事評価機能」は急速に顧客数を増やしているという。

気になるSmartHR社のARR(年間経常収益)だが、2022年4月に「T2D3(「3倍(Triple)→3倍→2倍(Double)→2倍→2倍」とARRを増やしていく指標)」を達成。さらに現在は、 「足元のARRは100億円を超え、契約獲得ベースだと約110億円に達している」ことを明らかにした。なお、現在「T2D3」はSaaS企業の成長速度をはかる指標となっている。

SmartHR社の芹澤雅人代表取締役CEOは、同社のコーポレートミッションについて「労働にまつわる社会課題をなくし、誰もがその人らしく働ける社会をつくる」ことだと話し、それらを一言で表すキャッチフレーズが「well-working」だと説明する。実現するためには、「働く人の無駄を省き作業を効率化する」「働く人のポテンシャルを引き出しエンゲージメントを高める」ことが大事だという。

この2軸を挙げた理由について芹澤代表取締役CEOは、これから日本で起こるとされる「労働人口の減少」「働き方の多様化」にあると説明し、今後、人の働き方や生産性への注目度はさらに高まるであろうと予測する。企業活動を通して、「働きたいと思う環境の整備」「選ばれる組織作り」をサポートしていくとも語った。

SmartHR社の芹澤雅人代表取締役CEO

今後のSmartHR社の事業戦略については、「マルチプロダクト戦略」を掲げる。「well-working」な社会を実現するためには、もっと事業領域を拡大していく必要があり、多くのプロダクトを同時並行的に作っていく必要があると芹澤代表取締役CEOは考えているようだ。また、プロダクトの数を単に増やすだけではなく、「『SmartHR』の既存のユーザーのニーズに基づいた効率的なプロダクト開発」「最新で正確な従業員データベースとの自動連携」「統一されたユーザー・エクスペリエンス」「既存プロダクトとのデータ・シナジー」を満たしていることが重要とも。

「タレントマネジメント機能」に関しては、「人事評価」「ラクラク分析レポート」「従業員サーベイ」に加えて今年2月には新規プロダクトとして「配置シミュレーション機能」をローンチした他、 「スキル管理機能」を今年中にローンチ予定。また、「タレントマネジメント機能」やその他機能の増加にともない、従業員側の利用シーンを増やし、使い勝手を向上させるために、スマートフォン向けのアプリも開発しているという。

アプリケーションプラットフォームの拡大も進めており、アドオン機能を提供するアプリストアのリリース、エコシステムの醸成、プラグイン形式での機能拡張などにより、SaaSが苦手とする「個社カスタマイズ」に対応していくという。

芹澤代表取締役CEOはこれらの戦略により、「将来的には人事労務のみならず、バックオフィスのあらゆる業務が『SmartHR』を中心につながっていくような社会を目指す」と意気込みを語った。

SmartHR=https://smarthr.jp/


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