ClipLine、生成AIを開発プロセスに導入し動画マネジメントシステムを大幅アップデート、現場に寄り添う機能をさらに強化へ

動画マネジメントシステム「ClipLine」のサービスイメージ

多店舗展開ビジネスの組織実行力を高める動画マネジメントシステム「ClipLine(クリップライン)」を提供するClipLineは、ChatGPTを始めとした生成AIを開発プロセスの中心に置いた体制を構築し、プロダクトの飛躍的な進化に向けて取り組むことを発表した。生成AIをプロダクト開発の中心に組み込むことで、「クリップライン」の大幅アップデートを実現し、「現場への寄り添い」を主軸にした機能をさらに強化していく。

同社は、「『できる』をふやす」をミッションに掲げ、GDPの約7割を占めるサービス産業の労働生産性向上に向けて、動画マネジメントシステム「クリップライン」の提供を行ってきた。「クリップライン」は、30秒から1分程度の短尺動画を使って、多店舗・多拠点を展開するビジネスの生産性を向上させるプロダクトとなっている。本部から店舗への業務指示、店舗から本部への業務報告、マネージャーと店舗スタッフのコミュニケーション、店舗ノウハウの水平展開、スタッフの新人教育・スキルアップなどに貢献し、売上増、人件費削減、離職率削減などの財務効果を創出するとのこと。

すでに、吉野家を始めとした外食企業の導入から始まり、小売、介護、運輸など様々な生活サービス領域で広く活用され、現在では約1万5000店舗、41万人に活用されているという(2022年8月時点)。例えば、人材不足が深刻化している介護業界での導入事例としては、リハビリ特化型デイサービス「元氣ジム」を運営するルネサンスが「クリップライン」を活用。本社から各施設へ動画での情報共有を行っている他、デイサービス現場で動画を活用し、スタッフの遠隔教育を実現している。また、人材不足に加え属人化という課題を抱える葬儀業界では、「家族葬のファミーユ」を運営するきずなHDが「クリップライン」を導入。社員教育に動画を活用することで、ナレッジ開発・共有の質とスピードの大幅な向上を図っている。

そして今回、「クリップライン」のさらなる機能強化を促進するため、生成AIをプロダクト開発の中心に組み込み、より経営に寄り添うサービスへと進化させていく。

ClipLineの高橋勇人社長

ClipLineの高橋勇人社長は、「多店舗展開ビジネスの構造上の課題である『伝言ゲーム』を解消し、現場で働く人の『できる』を増やしたいという思いから『クリップライン』の開発を始め、ローンチから丸9年になろうとしている。当初から、教育や指導は教える側の都合ではなく、教わる側の視点を基準に行われるべきであると考えており、従業員ごとの役割や習得レベルに応じたコンテンツの出し分け機能を実装するなど、パーソナライズに重点を置いて機能のアップグレードを重ねてきた」と、「クリップライン」の開発・強化に取り組んできた経緯を語る。

「多店舗展開ビジネスには、顧客接点となる現場の従業員ひとりひとりの提供サービスの品質が顧客満足度を決定するという特徴がある。そのため、業績向上には徹底した従業員教育が必須といえるが、慢性的な人手不足で指導側は教育時間が捻出できず、また新人側は十分に教えてもらえず離職が止まらない、そのため現場のレベルアップや品質維持がおぼつかないという悩みを多くの企業が抱えてきた。その課題に向き合うため、『クリップライン』では、指導時間の削減や教育内容の標準化に加え、教わる側の従業員がいつでも何度でも必要な動画を再生して自分のペースで学習できる環境を構築してきた。また、スマートフォンで移動時間などに利用できる『パーソナル版』もリリースするなど、個別学習環境の充実に努めてきた」と、人手不足によってサービス業が抱える現場教育の課題を解決するべく力を注いできたという。

「それでも未だ道半ばであると自認する中で、近年、目覚ましい発達を遂げるChatGPTを始めとした大規模言語処理モデルの登場によって、個別学習環境を一足飛びに進化させる地盤が整ったと認識している。生成AIをサービスに組み込むことで、例えば従業員の個別理解をさらに深めた上で、コンテンツの精度を高めていくことが可能となる。また、近い将来GPT-4のようなマルチモーダルな基盤モデルを活用すれば、『クリップライン』に登録された動画ひとつひとつの価値が飛躍的に向上することにもなるだろう。今回の開発体制の強化を通して、店舗や拠点ではたらく人々をより深く理解し寄り添うことで、現場力向上支援のプロダクトとして圧倒的な進化を遂げていきたいと考えている」と、生成AIを組み込んだ「クリップライン」のさらなる進化に期待してほしいと述べていた。

「FaceCraft-フェイスクラフト-」機能のイメージ

生成AIを活用した具体的な機能アップデートとしては、アカウント作成時に登録する顔写真を加工できる「FaceCraft-フェイスクラフト-」機能を実装する予定。「クリップライン」では、同じ場所で働くメンバーの相互理解促進のため、顔写真の登録を必須としている。実際の顔写真を登録することに抵抗を感じるという人でも気軽に登録できるよう、簡易加工機能を実装する。本人であることが推定できる範囲の加工がワンクリックで可能になるという。

「クリップライン」に登録された動画を自動でテキスト化し、検索や管理面での利便性を向上させる機能を実装する。これにより、従業員一人ひとりが、自分のスキルレベルやタイミングに合わせた適切なコンテンツに素早くアクセスできるようになる。また、多言語翻訳機能を実装し、登録された動画の音声を自動的に外国語に翻訳する。人の手を介さずとも外国籍人材に適した教材が整備できる。

「ChatMentor-チャットメンター-」機能のイメージ

さらに、「ChatMentor-チャットメンター-」機能を新たに提供。従業員個人にカスタマイズされたAIチャット形式のメンターが、店長業務において最も負荷が高いとされるアルバイト教育やモチベーション管理を代行する。従業員のプロファイルを事前にインプットしておくことで、個別最適なアドバイスをすることが可能となる。アルバイトだけでなく店長向けのメンターも実装するとのこと。

生成AIの導入にともなう社内体制の整備としては、ChatGPT APIを活用したAIアシスタントシステムをSlackチャンネル内に設置し、開発に関わっていない社員も自由に利用できるようにした。業務課題を解決するためのヒントを得たり、テストとして使用することができる。

今年4月6日、7日の2日間には、開発チームがAIハッカソンを開催している。サービス業の現場の課題である業務効率やコミュニケーションの向上に資するプロダクト開発を見据え、新たなアイデア創出や技術習得を目的とし、チームごとにレベルやテーマを変えたプロダクトのアップグレードに取り組んだという。

生成AIサービスを利用するにあたっては、情報管理責任者を中心にガイドラインを制定した。今後、この内容に沿って開発を進めていく。

ClipLineの藤村隆士CTO執行役員は、「私たちは、『世界のサービスの進化をテクノロジーで実現する』というビジョンを掲げ、多店舗展開企業の人材マネジメント支援を行うサービス開発を行っている。顧客企業を取り巻く外部環境が急速に変化し、事業や従業員が多様化する状況において、働く人たちの業務効率化やエンパワーメントがますます重要な課題となってきている。ChatGPTなどのAI技術を活用することで、より迅速なプロダクトのアップデートを実現し、顧客のビジネス成長を強力に後押しできると考えている。これからもハッカソンなどを通して社内の知見を深め、最新技術を取り入れたプロダクトの提供に努めていく」との考えを示した。

ClipLine=https://corp.clipline.com/
ClipLineサービスサイト=https://clipline.com/service/


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