- Study&Work2023/11/13 20:22
KDDI共同創業者の千本倖生氏が新財団を設立、北海道東川町と連携し「ふるさとの納税」を活用した虐待児童支援を開始
令和3年度の被児童虐待相談数が20万件超と過去最多を更新し、虐待や家庭内暴力などの問題が深刻化するなか、KDDI共同創業者であり起業家の千本倖生氏が発起人兼代表理事を務める、被虐待児童支援を行う「一般財団法人こどもたちと共に歩む会」が新たに設立された。
同財団では、第一弾として自治体連携による「ふるさと納税による寄付受付」を開始し、北海道東川町と連携。ふるさと納税制度を活用した寄付金児童虐待防止支援事業を通じて、被害にあった児童たちへの支援を行う。
「ビジネスの世界ではさまざまなことを経験してきたが、人間としてちゃんと生きてきたのか。自分の人生をふりかえり反省した」という千本氏は、一念発起しコロナ禍のなか「子供の食緊急支援プロジェクト」を発足。その活動をきっかけに、児童心理治療施設「川崎こども心理ケアセンター かなで」(旧・情緒障害児短期治療施設)の初代施設長でありセラピストの高田治氏と知り合い、日本における虐待児童問題の現状を知るに至ったという。
千本氏との縁によって同財団に理事として参加する高田氏は、「虐待は子育て支援が頼りなかった結果。本来、子どもは怖いことがあれば親に頼るが、放置や虐待を受けたことで、自力で問題を解決しなければいけない。そのため怖いことがあれば過剰に攻撃するなど常に警戒し、自信のないなか生活していく」と説明。「今のことで精一杯で、将来に夢をたくす余裕がない。願っても誰も助けてくれないと人間不信になる」と訴える。
このような環境を余儀なくされた子どもたちが施設に入り生活していくことで、「思ったよりも人間は恐ろしくない、社会ってそんなに悪いものではないかも」と、少しずつ、地域社会へ戻れるような活動を始めていき、やがて親の世代になったときに虐待の数が減っていくという“予防”につながるとのこと。
しかし、高田氏が長年関わり、虐待児童への診療治療の経験が反映された「川崎子供心理ケアセンター かなで」では、約6人の子どもに対して大人4人で管理しており、24時間体制で見守るには人手が足りない状況だという。日本の子育て予算は諸外国に比べ少なく、政府も2000年以降、力を入れているものの追いついてはおらず、行政や民間団体の支援も十分に行き届いているとはいえないのが現状だ。
今回、北海道東川町では「こどもたちと共に歩む会」の活動に賛同。千本氏の呼びかけに応え、東川町のふるさと納税制度「ひがしかわ株主制度」を活用した「児童虐待防止に関する支援啓発事業」として支援を募ることとなった。同プロジェクトの寄付目標額を2000万円と設定し、11月8日から「ひがしかわ株主制度特設サイト」の他、各ふるさと納税ポータルサイトでも募集を開始している。
東川町の菊池伸町長は、児童虐待は子育ての充実を目指す市町村であれば、どんな所でも起きうる問題であり、東川町も例外ではなく、プロジェクトを立ち上げることで、そのような問題解決のさまざまなノウハウを共有し反映もできるとし、「東川町を介して日本全体の社会問題に寄与するべき」との考えを示した。
一般財団法人こどもたちと共に歩む会=https://ab-children.com/
ひがしかわ株主制度特設サイト=https://higashikawa-town.jp/kabunushi/project/detail/15