中小企業庁、2023年度「はばたく中小企業・小規模事業者300社」の授賞式を開催、5つの選定分野から受賞企業に感謝状を授与

「はばたく中小企業・小規模事業者300社」授賞式の記念撮影

中小企業庁は、経済社会構造の変化に対応して事業変革や新規事業に挑戦し、地域経済や日本経済の成長への貢献が期待できるモデルとなる中小企業を「はばたく中小企業・小規模事業者300社」として選定している。今回、2023年度の「はばたく中小企業・小規模事業者300社」を選定し、3月14日に授賞式が執り行われ、受賞企業の代表5者へ感謝状が授与された。

産業経済大臣の齋藤健氏

授賞式に先立ち、産業経済大臣の齋藤健氏が挨拶した。「昨年は、中小企業の業況判断DIは全産業で約30年ぶり、賃金上昇率も約30年ぶりの高水準を記録するなど、明るい兆しが見られた。しかし、物価高やエネルギー価格の高騰、構造的な人手不足、GX・DX等の事業環境の変化など、中小企業は引き続き厳しい状況に直面した年だった」と、中小企業を取り巻く経済環境を解説。「今回のはばたく中小企業・小規模事業者300社では、『事業再構築・生産性向上』『海外展開』『GX』『DX』『人への投資・環境整備』の5つの分野から選定した。日本のイノベーションを支える取り組み、海外での積極的な販路開拓、省エネや脱炭素化に貢献する取り組み、データやデジタル技術の活用、多様な人材活用といった働く環境の整備など、様々な分野で活躍している我が国を代表する企業が選ばれている」と、受賞企業の選定分野について紹介した。「今回の受賞企業の取り組みを全国に発信することで、各地で課題を抱えている中小企業の課題解決の『気づき』となり、日本の中小企業全体がさらに力強く飛躍していくことを祈念している」と、中小企業全体の底上げにつながることに期待していた。

「はばたく中小企業・小規模事業者300社」授賞式の様子

授賞式では、「事業再構築・生産性向上」「海外展開」「GX(グリーントランスフォーメーション)」「DX(デジタルトランスフォーメーション)」「人への投資・環境整備」の各選定分野を代表して、アイル(長崎県)、山本製作所(広島県)、誠和(栃木県)、ベジクル(東京都)、モリタ(宮崎県)の5社に、産業経済大臣の齋藤氏から感謝状が贈られた。

アイルへの感謝状授与の様子

「事業再構築・生産性向上」分野で受賞したアイルは、野菜シート「ベジート」の開発、製造・販売を行う事業者。規格外として野菜が放置される現状を見て、20年以上前から規格外野菜の活用方法の研究開発を続け、商品化したという。野菜シートの新たな製品価値が国内外で認められ、その取引を拡大している。

山本製作所への感謝状授与の様子

「海外展開」分野で受賞した山本製作所は、業務用洗濯機の専門メーカー。同社は自社開発化を進め、ほぼすべてを社内で製造し、ユーザーからの多様なニーズに対応できる開発力・生産体制を構築することで滞りのない交換部品の供給力をもっている。顧客が長期間製品を利用できるとして、海外からも「フォーエバーマシン」と評価され、独自の価値を提供している。

誠和への感謝状授与の様子

「GX」分野で受賞した誠和は、園芸施設用の設備メーカー。儲かる農業の実現のため、ハウス内の環境制御用設備の開発とともに、実証用農場を経営している。高生産量と資源利用効率化を両立させる製品を提供し、省エネ等の技術開発やスマート農業技術の生産現場への普及に率先して取り組んでいる。

ベジクルへの感謝状授与の様子

「DX」分野で受賞したベジクルは、「アジアを代表する八百屋になる」を目指して東京都大田区に拠点を構える青果卸売業者。WEBマーケティング、ITツールの活用を進め、受発注オペレーションの仕組みを構築し、DX化を推進することで、顧客要望への迅速な対応を実現している。

モリタへの感謝状授与の様子

「人への投資・環境整備」分野で受賞したモリタは、産業機械や工作機械などの販売や、樹脂成形部品の製品製造を行う事業者。近年は、航空機分野への取り組みや、ドアミラーといった自動車メーカーとの取り引きを開始する高い技術力を強みとしている。また身体障がいのある人を個性と捉えつつ、戦力として活用するなど人材の受け皿となりつつ地域貢献を実施している。

なお、今回の選定にあたっては、全国中小企業団体中央会、日本商工会議所、全国商工会連合会、日本政策金融公庫、商工中金、中小企業基盤整備機構、日本貿易振興機構、国際協力機構、国際協力銀行、全国信用金庫協会、全国信用組合中央協会、産業技術総合研究所、外務省および経済産業局からそれぞれ推薦を受け、沼上幹委員長(早稲田大学ビジネス・ファイナンスセンター研究院教授)を中心とする外部有識者によって厳正に審査を行った。

早稲田大学ビジネス・ファイナンスセンター研究院教授の沼上幹氏

選定委員長を務めた沼上氏は、「中小企業は今、様々な課題を抱えているが、その中で今回は『事業再構築・生産性向上』『海外展開』『GX』『DX』『人への投資・環境整備』という5つの課題に焦点を当てた。そして、全国の経済団体や金融機関などから推薦された優良企業をさらに評価し、最終的に選定委員会で徹底的に議論して300社を厳選した。この300社は、全国の中小企業の模範であり、ロールモデルといえる。今後、各分野から受賞を目指す中小企業が次々と現れ、切磋琢磨することで、日本経済の活性化を先導していくことを期待している」と講評を述べた。

中小企業庁=https://www.chusho.meti.go.jp/
2023年度はばたく中小企業・小規模事業者300社=https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/monozukuri300sha/2023/detail.html


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