- Study&Work2025/02/13 21:27
GPTW Japan、2025年版「働きがいのある会社」ランキングベスト100を発表、「静かな退職」に関する最新の調査結果も解説
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「働きがいのある会社」に関する調査・分析を行うGreat Place To Work Institute Japan(以下、GPTW Japan)は、2025年版日本における「働きがいのある会社」ランキングベスト100を2月12日に発表した。同日に行われた発表会では、2025年版「働きがいのある会社」ランキングの傾向について解説した他、直近の人事領域のホットトピックスである「静かな退職」の実態に迫った最新の調査結果についても発表した。また、今回のランキング選出企業の中で最多選出されたディスコの赤瀬勝彦氏をゲストに迎え、GPTW Japan 代表の荒川陽子氏とのトークセッションを実施した。
GPTW Japanでは、グローバルで長年蓄積された研究データに基づくエンゲージメントサーベイを行うことによって、第三機関として「働きがいのある会社」を認定している。同社の定義する「働きがいのある会社」とは、立場、仕事、働く場所に関係なく、あらゆる従業員が会社やリーダーを信頼し、自分の仕事に誇りを持ち、一緒に働いている人たちと連帯感を持てる会社のことを指す。
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19回目の発表となる2025年版は、調査にエントリーした657社にアンケート調査を行い、調査結果が一定水準を超えた「働きがい認定企業」の中から、特に働きがいの水準が高い上位100社(大・中・小規模ごとの選出社数の合計が100社)を「働きがいのある会社」ランキングベスト100として選出した。アンケート調査では、全員型「働きがいのある会社」モデルに基づく2つのアンケート(働く人/会社)を実施。この結果、大規模部門ではDHL Express(運輸業、郵便業)、中規模部門ではアチーブメント(学術研究、専門・技術サービス業)、小規模部門ではあつまる(情報通信業)が第1位となった。
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2025年版調査の全体傾向について、GPTW Japan 代表の荒川氏は、「全設問平均のスコア変化をみると、前回調査では『低下傾向』が最も多かったが、今回は大規模と中規模に『改善傾向』が増加した。全体としては『変化なし~小』の企業が最も多いものの、『低下傾向』と『改善傾向』の比較では『改善傾向』の方が多い結果となった」と分析する。「最も改善した設問は、『働きに見合った報酬が支払われている』だった。また、『経営・管理者層の期待が明確』、『経営・管理者層に質問しやすい』などが改善し、リーダーである経営・管理者層が積極的にコミュニケーションを図り、従業員との信頼醸成に力を入れていることがうかがえる。『仕事に行くことを楽しみにしている』は、これまで日本は他国と比べても低い傾向だったが、改善傾向となった。調査企業全体の平均値、4年分を比較してみると、調査参加企業の平均値は上昇傾向にあるが、特に『仕事に行くことを楽しみにしている』は全設問平均の上昇(2ポイント)を上回り、4ポイントの上昇となった」と、改善傾向にある設問内容について解説した。
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続いて、新たな社会課題として注目を集めている「静かな退職」に関する最新の調査結果を発表した。「『静かな退職』とは、現在の勤め先に対する継続勤務意向はありながらも、仕事に対して意欲や熱意を持たず、必要最低限の業務だけをこなしながら働く状態を指す。労働人口の減少や働き方改革にともない、生産性向上への意識が高まっている中、その逆風となりえるのが『静かな退職』という働き方。『静かな退職』は、従業員個人に与える影響はもちろん、会社に与える影響も大きいと考えられる。そこで、『静かな退職』の現在地はどうなっているのか、今後『働きがい』にはどのような影響を与えるのかを探るべく、新たな調査を実施した」と、「静かな退職」について調査を行った背景を説明した。
「回答者の年齢構成比を昨年と揃えて集計したところ、『静かな退職』実践者は2.8%で微増となった(昨年2.4%)。年代別では、25~29歳、35歳以上の年代で増えている。『静かな退職』の認知度は約3割で、20代では比較的知っている人が多いことがわかった。職位別にみると、部下を持つ管理職や一般従業員に比べて経営・役員間の認知度が相対的に低かった。また、『静かな退職』実践者のマネジメントに、『仕事への意欲や熱意を持つ部下と同等かそれ以上の時間をかける』と回答した管理職は77.9%にのぼった」と、現場の従業員や管理職まで「静かな退職」の認識が進む中で、経営・役員の認識が追いついていないと訴える。「『静かな退職』実践者は、収入やスキル面での不安を抱えているが、職場で孤立することは不安に感じていない。さらに、4割以上が職場への影響はないと思っている。一方、上司層は、実践者よりも職場への影響があると感じており、『職場への不満』『連帯感の低下』は上司層と実践者とで20ポイント以上もの差があった。実践者は、自身の影響を客観的な視点から把握できていない可能性がある」と、「静かな退職」を実践している人の実態が浮き彫りとなった。
「『静かな退職』実践者は、職場内での孤立も厭わず『自分は自分』という姿勢であることがうかがえるため、『働きがいのある会社』モデルで重要視される『連帯感』に悪影響を及ぼすことが予想される。実践者と上司層の間には、仕事をする上で職場における連帯感に対して、一人ひとりが与える影響についての価値観や考えの違いがあり、マネジメントの難易度は高い。また、中間管理職の権限では解決できない異動配置や評価基準の問題もある。対処を現場任せにすると中間管理職の負荷ばかりが積み上がる危険性がある」と、少数の「静かな退職」がきっかけとなり、現在「静かな退職」をしていない人や今後活躍を期待する中間管理職にもさまざまな影響を及ぼすリスクがあると語気を強める。「これからの経営層は、離職率では測れない『静かな退職』の予備軍を見極める手法を複数持ち、働きやすさとやりがいを両立させた、働きがいのある会社を作る努力をしてほしい」と、経営層が積極的に「静かな退職」への感度を高め、自社らしい働きがいを模索することが重要であるとの見解を示した。
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ここで、2025年版「働きがいのある会社」ランキングにも選出され、高い働きがいを長期にわたって維持しているディスコの赤瀬氏とGPTW Japan 代表の荒川氏が、最新の調査結果を踏まえて「社会課題となる『静かな退職』 管理職と現場社員との意識の乖離はあるのか」をテーマにトークセッションを行った。赤瀬氏は、「当社では、組織経営の3本柱として『DISCO VALUES』『PIM対戦(改善活動)』『個人Will制度』を実践している。まず『DISCO VALUES』では、約300項目の企業理念を掲げ、従業員に徹底的に浸透させている。『PIM対戦(改善活動)』では、他部署との対戦形式による改善活動を全拠点・全部署で実施している。そして、『個人Will制度』では、各従業員にWillというコインを発行し、個人レベルまで落とし込んだ管理会計を行っている」と、ディスコが実践しているユニークな組織経営について紹介。「『静かな退職』という働き方が注目を集めていることは、ニュースやSNSなどを通じて知っていた。働き方が多様化することはいいことだが、その選択肢の一つとして『静かな退職』を選ばれるのは、企業にとっては寂しいことだと感じる。一方で、『静かな退職』を実践している人は、その職場はあまり居心地のいい場所にはならないと思う」と、「静かな退職」に対する考えを述べた。
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荒川氏は、「今後、若手社員の中で『静かな退職』を実践する人が増えると、企業は非常に厳しい状況になると感じている。若手社員は、これから大きな成長が期待できる人材であり、『静かな退職』がこの世代に広がることは、企業だけの問題ではなく日本経済にとってもマイナスの影響を及ぼす可能性がある」と、「静かな退職」がもたらすリスクを強調する。赤瀬氏は、「当社では、『静かな退職』が発生しにくい環境にあると考えている。特に『個人Will制度』によって、従業員一人ひとりがWillを通じて、社内で仕事を発注したり、請け負ったりしている。管理職は、その業務活動についてアドバイスをしたり、相談に乗るなど、従業員の自主性に寄り添ってサポートしている」と、「静かな退職」を防ぐための組織経営のポイントを教えてくれた。
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最後に荒川氏は、「『静かな退職』は、『働きがい』を毀損する大きな要因であり、これを事前に防いでいく取り組みが大切になる。働いている人は、その会社で自分がどんな働き方をしたらヘルシーで機嫌よく働けるのかをじっくり考えてほしい。会社側は、従業員1人ひとりが職場の連帯感を作る一員なのだというメッセージをしっかり伝えて、お互いに期待をかけあうことで、働きがいのある会社を作っていってほしい」と、日本において「働きがいのある会社」がさらに増えることに期待を寄せた。
[2025年版「働きがいのある会社」調査概要]
調査期間:2023年7月~2024年9月
参加社数:657社
ランキング上位100社内訳:
大規模部門 従業員1000名以上 15社
中規模部門 従業員100~999名 40社
小規模部門 従業員25~99名 45社
[「静かな退職に関する調査」概要]
調査期間:2024年12月23日(月)~12月26日(木)
調査対象:全国20~59歳の男女(調査会社のパネルから抽出)
調査方法:インターネットによる調査
Great Place To Work Institute Japan=http://www.hatarakigai.info/
2025年版「働きがいのある会社」ランキングベスト100=https://hatarakigai.info/ranking/japan/2025.html
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